『パンドラの果実』榊原の言葉は何を意味する? ギリシャ神話「パンドラの箱」から紐解く

『パンドラの果実』をギリシャ神話から紐解く

 さらに「パンドラ」とは、神話において「人類に災いをもたらすために」地上に送り込まれた、最初の女性である。その誕生の根源にあるのがプロメテウスの存在だ。プロメテウスは、人間に多くのものをもたらした。天上の火、知恵、技術ーーしかしそうした行為が最高神・ゼウスを怒らせ、人間もろとも仕返しを受けることとなる。その一つが、パンドラ(災いをもたらす存在)の誕生だった。

 ある日、パンドラが好奇心によって開いた箱から、あらゆる災いが飛び出す。最後に「エルピス」だけを残し、パンドラは蓋を閉めた。これがいわゆる「パンドラの箱」の語源であり、現在でも災厄を引き起こす原因の例えとして用いられる。箱に残った「エルピス」、これをどう解釈するかだが、予兆や期待とも訳し得るこの言葉を、英語圏では「hope」と訳すらしい。

 たとえ多くの災厄が現れようとも、最後には「希望」がある。最後に「希望」が残るからこそ、人間は絶望することなく生きていける。だから、箱に残ったエルピスを「hope」と訳す。願いにも近いが、ポジティブな解釈であり、一理あるとも思う。

 越えてはならない一線、禁断の果実。人間に多くをもたらす存在ながら、それにより罰を受けたプロメテウス。災いをもたらすパンドラ、最後に残るものは、希望であってほしいと願う。

■放送・配信情報
日本テレビ×Hulu共同製作 新土曜ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』
Season1:日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
Season2:Huluにて、6月25日(土)Season1最終話放送後から独占配信スタート(全6話)
出演:ディーン・フジオカ、岸井ゆきの、佐藤隆太、西村和彦、本仮屋ユイカ、シャラ ラジマ、安藤政信、板尾創路、石野真子、ユースケ・サンタマリア
原作:中村啓『SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦』(光文社文庫)
脚本:福田哲平、関久代、土城温美
監督:羽住英一郎
主題歌:DEAN FUJIOKA「Apple」(A-Sketch)
チーフプロデューサー:三上絵里子、茶ノ前香
プロデューサー:能勢荘志、尾上貴洋、古屋厚
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/pandora/
公式Twitter:@pandorano_ntv
公式Instagram:@pandora_ntv

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