『悪女(わる)』に反映された“働く女性のリアル” 異なる世代の2人の女性Pが込めた思い
「仕事の現場にいる女性だけでなく、会社の決定権を持つ偉い人に観てほしい」
――今回、ドラマ初主演作をやり遂げた今田美桜さんは、プロデューサーさんから見ていかがでしたか?
小田:正直、「この役にはかわいすぎるのでは?」と思ったんですよ。でも、超マリリンでしたね。回を重ねるごとに弾けてきて、どんどんパワフルになってきました。
諸田:今田さん、後半、変顔をやる場面では「どうやったらいいですかね?」と本当に真剣に考えていましたね。中途半端な変顔をしてかわいいと言われるのは嫌だという気持ちがあったようで、「変顔」で検索しながら試行錯誤していました(笑)。
小田:麻理鈴はすごくエネルギーを使う役なので、本当に元気じゃないと演じられない。体力的にはすごく大変だったと思います。なのに、全く文句も言わないでやりきってくれましたね。現場を明るくしてくれて、麻理鈴ならマフラーも手作りするんじゃないかという発想から、今田さんが空き時間に編み物をするようになって、スタイリストさんたちと編み物教室をしているみたいになっていました(笑)。
諸田:クランクアップはまだですが(※取材日は6月6日)、原作漫画のように周囲に元気を与えられる麻理鈴を体現してくれて、気持ちとしては本当にありがとうと言ってハグしたい。また、一緒にお仕事しましょうと声をかけたいです。
――最後にこのドラマに込めたメッセージを教えてください。
小田:話してきたように、私自身は子育てしながら働くことを乗り越えてきた段階ではあるのですが、会社の後輩にも子育てでいったん現場を離れたけれど、やはり制作の仕事に戻りたい、でも言い出せないという悩みを抱えている人がいます。日本中にいるそういう女性たちのためにこのドラマを作ったので、気持ちが伝わっているといいのですが……。
諸田:そうですね。最終話で描いたのは、例えば女性が育休や時短を取れればいい、ひとつの会社が良くなればいいということだけではなく、社会全体の機能していないところ、ボタンの掛け違いがなくなればいいなということ。だから、仕事の現場にいる女性だけでなく、会社の決定権を持つ偉い人に観てほしい。
小田:モロちゃんの言うとおりです。女性だけが家庭のことで会社に申し訳ないと思っているのって、おかしいじゃないですか。
諸田:女性管理職の課題やコロナ入社組の悩みなど、2022年にアップーデートしつつ、麻理鈴だけは原作のまま昭和から冷凍保存されてきた若者のように描きましたが、92年版のドラマで麻理鈴が会社を辞める決断をするのとは少し違うラストになるかなと……。今回の麻理鈴は麻理鈴のやり方で峰岸さんとぶつかって、違う答えを提示できたかなと思います。そして、いろんな働き方を許容した上で働くのって楽しいことだよというメッセージが伝わればうれしいですね。
■放送情報
『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~放送
出演:今田美桜、江口のりこ、鈴木伸之、高橋文哉、向井理
原作:深見じゅん『悪女(わる)』(講談社『BE・LOVE』)
脚本:後藤法子、松島瑠璃子
演出:南雲聖一、内田秀実、山田信義
プロデューサー:諸田景子、小田玲奈、大塚英治、平井十和子
チーフプロデューサー:田中宏史
主題歌:J-JUN with XIA(JUNSU)「六等星」(First JB music)
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/waru2022/