EXO チャンヨルの歌唱シーンは必見 明日へ向かう勇気をくれる『ぼくの歌が聴こえたら』

音楽映画として必見『ぼくの歌が聴こえたら』

 これらの瑞々しいケミストリーを生み出した監督は、ヤン・ジョンウン。演劇の演出家としてキャリアを積み、2018年の平昌冬季オリンピック開・閉会式の総合演出を手掛けた。本作は彼の初映画監督作品。公開時、韓国では初週の興行収入1位を記録している。

 俳優としてのチャンヨルは、映画『ミナリ』(2020年)で第93回アカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンと共演した映画『チャンス商会〜初恋を探して〜』(2015年)でデビュー。その後、『だから俺はアンチファンと結婚した』(2016年/日本未公開)やドラマ『ミッシングナイン』(2017年)、『アルハンブラ宮殿の思い出』(2018年)に出演。入隊直前に公開された本作が初主演作品となる。

 2021年3月に入隊すると、オーディションでその歌唱力が認められ10月から陸軍創作ミュージカル『メイサの歌』の主演・ラマン役に抜擢された。このミュージカルは、今年も3月から『ブルーヘルメット:メイサの歌』とタイトルを変えて再演されており、8月末まで公演は続く。ラマンはK-POPオーディションを受けに韓国にやってくる外国人という設定だけに、坊主頭ではなくちょっと長めの髪型。チャンヨルは終演直後の9月に除隊予定だが、除隊後もすぐ、髪が伸びるのを待つことなくアイドルらしい姿が見られそうだ。そしてまた、その魅力的な歌声を早く聴かせてくれることを期待したい。

 ふたりの男たちがもがきながらも少しずつ自分の殻を壊していく過程が描かれている『ぼくの歌が聴こえたら』。それはカッコ悪いことの連続なのだが、とても人間味にあふれている。誰にだって、ミンスのように箱に逃げ込みたくなることはある。ちょっと自信をなくした自分に、必要なものは何なのかを気付かせてせてくれる作品だ。映画館を出るときにはきっと、少しだけ清々しい気持ちになっているはず。

■公開情報
『ぼくの歌が聴こえたら』
6月10日(金)シネマート新宿、ヒューマントラスト有楽町ほか全国公開
出演:チャンヨル(EXO)、チョ・ダルファン
監督・脚本:ヤン・ジョンウン
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
2021年/韓国/韓国語/93分/シネスコ/5.1ch/英題:THE BOX/日本語字幕:江波智子
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