『やんごとなき一族』松下洸平の“兄”としての表情が新鮮 4兄妹の関係がさらに複雑に!?

『やんごとなき一族』松下洸平の“兄”の表情

 深山家を嫌う女郎蜘蛛ことマダムキリコ(長谷川京子)の登場で、健太(松下洸平)と佐都(土屋太鳳)の運命が大きく動く。『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の第4話では、佐都を家から追い出すことを賭けた圭一(石橋凌)の指示により、明人(尾上松也)、健太、大介(渡邊圭祐)、有沙(馬場ふみか)の4兄妹の関係がさらに複雑なものになってしまった。

 大介とリツコ(松本妃代)の離婚の後押しをしたことで、佐都は家を追い出されそうに。しかし健太が担当することになった裏青山の商業ビルに「ソリマチ」というパリの有名レストランを招聘できれば、追放は免れるという。佐都と健太は、上流社会に大きな影響力を持つマダムキリコに口利きを頼もうとするが、なかなかツテが見つからずに行き詰まっていた。偶然現れた大介の知り合いであることが判明するものの、キリコには“キリコベイビーズ”という半裸の男たちをはべらせているといういかがわしい噂があった……。

 強烈な噂話で登場前からどんな人物かと興味をそそられたマダムキリコ。上がりきったハードルの中でも貫禄のある芝居と、妖艶な佇まいを見せた長谷川京子は、まさに視聴者の求める「キリコ」像を体現しただろう。2022年からフリーで活動している長谷川は、女優業のみならず、InstagramやYouTubeで見せるお洒落な私生活にも注目が集まる。そんな長谷川自身のイメージも相まって、ゴージャスで華やかな裏で努力を重ね真心を重んじるキリコ役は、より受け入れやすいものになったのではないだろうか。佐都と意見がぶつかることもあったが、キリコには歯向かうものを排除する思想とは相反した器の大きさが感じられた。

 さらに第4話では健太と大介、健太と有沙の関係にも注目したい。『やんごとなき一族』といえば、深山家に嫁いだ佐都へのセンセーショナルな仕打ちに目がいきがちだったが、最近はそんな佐都もどことなく深山家に居場所を見つけつつある様子だ。加えて健太は、金を借りにきた大介に毅然とした態度で接し、決して甘やかさずに親身になって接する。有沙が夜遅くに帰ってきた時も、兄としての不安な心をのぞかせながらも妹を想う顔を見せていた。これまでは健太を演じる松下洸平の“夫”の顔にフォーカスが当てられてきただけに、“兄”としての表情が見られるのは新鮮である。同時に、弟妹思いの健太からは深山家の新たな君主像が垣間見られ頼もしささえ伝わってきた。松下の優しい表情や声色によって、弟妹たちがのびのびできる新たな「深山家」が立ち上がる兆しが感じられるシーンとなった。

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