松本潤の言葉をいつまでも胸に 『となりのチカラ』最終回が教えてくれた明日を変える一歩

『となりのチカラ』が描いた明日を変える一歩

 松本潤が主演を務める『となりのチカラ』(テレビ朝日系)が、3月31日に最終回を迎えた。

 前回、これまで散々人の家の問題に首を突っ込んできたチカラが出した考えは「もう何もしない」という結論。最終回では、学(小澤征悦)と達代(映美くらら)、好美(古川凛)の木次家をはじめとするマンションの住人のその後を描きながら、第8話時点でトラブルメイカーと噂されていた小日向(藤本隆宏)という新たな問題にチカラ(松本潤)が向き合っていく。

 ボヤ騒ぎや水漏れを起こし、マンションの住民に暴言を吐く小日向。途中までは彼が悪人として描かれるが、ある時からその視点が一変する。それは小日向の素性を知った瞬間だ。ただ一人、小日向を見捨てずに寄り添い続けたチカラは、彼が亡くなる前の父親の背中に似ていたことを思い出す。

 チカラの父親は病気で亡くなった母親を追うようにして死んでいった。自殺をする前の父親にそっくりな小日向をチカラは放っておけなかったのだ。「大切な人を失った深い悲しみの中に、いるんじゃないか」と。小日向はこのマンションに引っ越そうとしたその日に妻を心筋梗塞で亡くしていた。騒ぎを起こしていたのは幸せそうにしている住人を見ての行動だったのだ。これまでの過ちを謝る小日向に、彼の退去勧告を推し進めていた頼子(松嶋菜々子)だけは最後まで折れない。すると、これまで小日向を敵視していた住人の冷たい視線が、一気に頼子へと向く。

 過去に管理人の星(浅野和之)が上条(清水尋也)を追い詰めていた時と見方はよく似ている。チカラが「この世界にはいい人も悪い人もいない」「僕たちはみんな善と悪の間で揺れてて、周りの環境とか出来事によって、どっちにもなり得る」と話していることが全て。だからこそ、なぜ“悪”になってしまったのかを探って、元に戻ることが大事だとチカラは説く。暴力で全てをねじ伏せようとする学に対して、高太郎(大平洋介)が言い放った「ヒーローは現実から目を背けちゃいけないんだ。それが一番恥ずかしいことなんだ!」といった言葉も、自分の考えを押し付けずに相手の話を聞く/寄り添う、チカラと同じ立場にある。

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