『ニトラム/NITRAM』ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ&監督のインタビュー映像公開
全国公開中の映画『ニトラム/NITRAM』より、主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ とジャスティン・カーゼル監督のインタビュー映像が公開された。
本作は、1996年4月28日、オーストラリアの世界遺産でもある観光地ポート・アーサー流刑場跡で起こった無差別銃乱射事件の犯人の半生を描いたサスペンス。第11回オーストラリア・アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚本賞ほか主要8部門で最多受賞を果たした。
本作で描かれるのは、事件当日に至るまでの犯人の日常と生活。舞台は、90年代半ばのオーストラリア・タスマニア島。かつて囚人の流刑地だった、観光しか主な産業がない閉塞したコミュニティに暮らす青年が、いかにして同国史上最多の被害者を出した銃乱射事件の犯人となったのか、その不可解な半生が描かれる。
公開されたインタビュー映像では、主演のジョーンズが「初めて脚本を読んだとき、“脚本に虫眼鏡があったとしたらその焦点はどこに当たっているのだろう”と考えた。演じるとはいえ、間違いや実物とは違う点も出てくるだろうと。でも自分の内面から役に近づかなきゃならない」とコメント。さらに、カーゼル監督に対して「監督も僕の演技を受け入れてくれた。だからこういった機会をもらえて本当に光栄に思っている。僕のことを信じて思うようにやらせてくれる。僕自身の表現を認めてくれてありがたい」と感謝の気持ちを述べた。
また、カーゼル監督とのインタビューにおいてジョーンズは、「観客の共感が得られるかどうかは撮影が進むうちに問題ではなくなった。自分が演じる役に命を吹き込み、その人にふさわしい人生を生きていくんだ。どうやって感情を表現するかたくさん試行錯誤した。現実的になるようにね。そうするのが自然だったと思う。脚本を読んだ時、意図をつかみかねてたんだ。共感を強いるような内容にね。それはやりたくなかった。でも監督に会って、違うことが分かった。役に命を吹き込むということを一緒にやっていこうと思った」と語る。
一方、カーゼル監督は、本作を撮影するにあたっての重要なポイントについて、「脚本は青写真のようなものだと思う。自分が撮ろうとしている映画に真実性を見出すためのものだ。自分の周りのものを発展させること、それが撮影であるべきだ。自分の立ち位置や思いに正直でありながら撮影する必要がある。脚本はもちろん、膨大な量の実際の出来事に対する歴史的な問いかけに影響されすぎないことだ」とコメントを寄せた。
さらに、映画という表現方法について、「映画は観客に対して視点を与える強力なツールだ。その視点は、時に非常に直感的でパワフルで感動的。そして大きな影響をもたらす。報道的な映画を撮るのであれば、撮影対象に対して距離感と観察が必要だ。記者の視点から見た出来事になるからね。物語の登場人物の視点で撮る場合は、それとは違う。例えばニトラムの視点だ。そこには居心地の悪さがあって、閉鎖的で息苦しくもある。観客たちは映画を見て、なぜそんな感情になるのか考え始めるんだ」と語った。
■公開情報
『ニトラム/NITRAM』
全国公開中
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジュディ・デイヴィス、エッシー・デイヴィス、ショーン・キーナンほか
監督:ジャスティン・カーゼル
脚本:ショーン・グラント
配給:セテラ・インターナショナル
2021年/オーストラリア/英語/ヴィスタ/110 分/原題:NITRAM/日本語字幕:金関いな
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