白石聖が『豊臣兄弟!』に与えた大きな愛 小一郎の涙の絶叫があまりにも切ない

覚悟はしていたはずが、あまりの突然の別れに思わず目頭が熱くなった。NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第8回「墨俣一夜城」では、直(白石聖)が天国へと旅立つ。父・喜左衛門(大倉孝二)にようやく素直に言えた「とと様の娘に生まれてよかった」という言葉、そして小一郎(仲野太賀)の涙の絶叫。無音のラストに、小一郎の直を呼ぶ声が切なくこだましているような気がしてならなかった。
中村から小牧への帰り、直は野盗に襲われる集落を目の当たりにする。幼い女の子に振り下ろされる刃。直は子供を庇い、そのまま息絶えてしまう。それは、かつて直が父から蔵で守られた時と同じ構図だった。

新たな居を構え、幸せいっぱいの生活を始めていた小一郎と直。蜂須賀(高橋努)と前野(渋谷謙人)が率いる川並衆と協力して墨俣に一夜で砦を築く“築城作戦”へと出立する小一郎は、直との祝言を挙げることを約束。直は小一郎と一緒になることを告げるため、弥助(上川周作)を連れて久しぶりに中村の父のもとへと帰る。
小一郎を毛嫌いしてきた喜左衛門は、祝言の話を聞き、あろうことか直を騙して蔵に閉じ込めてしまう。そこで直が思い出したのが、20年前に倒れてくる棚から自分を守ってくれた父の優しさだった。幼少期の直を演じるのは、『海のはじまり』(フジテレビ系)やミュージカル『SPY×FAMILY』などで知られる泉谷星奈だ。

直と喜左衛門は、どこか似ている。愛するが故に気持ちとは裏腹な行動を取ってしまうところは親子の証。そんな父の本心を悟り、直は涙ながらに今までの感謝の思いを口にする。嫁いでいく娘にようやく正直になった喜左衛門は、白無垢の花嫁衣装を出して、「お前が幸せならそれでよいわ」と言葉にした。「私も、とと様のような親になりとうございます。とと様の娘に生まれてよかった。ありがとう。とと様」と大粒の涙が頬を伝い、満面の笑みを浮かべる直。“とと様のような”という思いは、悲しい形で実現してしまう。
それぞれのキャラクターを表すアイテムが、藤吉郎(池松壮亮)がひょうたん、小一郎がかざぐるまならば、直は握り飯だろう。1月14日放送の『激突メシあがれ~自作グルメ頂上決戦~』(NHK総合)での『豊臣兄弟!』とのコラボ回に出演した白石聖は今後、重要アイテムとして握り飯が登場すると話していた。第2回で「いざ、参ろうぞ!」と小一郎、藤吉郎とともに中村を出発した時、2人に持たせていたのが握り飯。そして、この第8回では直が渡した握り飯が、小一郎の命を救うことになる。墨俣砦で握り飯を食べていた小一郎がうっかり握り飯を落としてしまい、拾おうと屈んだその瞬間に、敵の鉄砲の弾がかすめていくのだ。

直の亡き骸を目の前にしての、小一郎の第一声は「腹減ったわ」。握り飯のおかげで命拾いしたことを直へと話し、握り飯を作ってくれと頼む。しかし、返事はない。徐々に死の実感が押し寄せてくる小一郎。「なんじゃ、このありさまは! なんなんじゃ、これは!」と第2回の中村で見た惨劇と同じ叫び声をあげる。
小一郎にとって直は帰る場所だった。けれど、「私、すごいな。小一郎ならきっとそう言うと思った」と明るく声をかけてくる直はもういない。もちろん、寧々(浜辺美波)にとっても、なか(坂井真紀)にとっても大切な、家族同然の存在だった。

2月27日放送の『あさイチ』(NHK総合)「プレミアムトーク」に白石聖が出演。チーフ演出の渡邊良雄は、直は「小一郎の背中を押す人」だとコメントしていた。第8回という早さで“退場”となってしまった直だが、この先も彼女の思いは小一郎の中で息づいていくはずだ。そして、キャスティング決定から撮影初日まで1カ月という短さの中で役に入っていった白石。史実にはないオリジナルキャラクターに挑む状況の中で、明るく、芯の強い、それでいて揺らぎが垣間見える直を堂々と演じきった。人気を獲得している最中での白石の退場は残念でならないが、役者としての評価や人気は『豊臣兄弟!』を通じて確実に高まっている。いまだ出演経験のないNHK連続テレビ小説をはじめ、今後の活躍にも大いに期待したいところだ。

そして、キャラクターアイテムが扇子になりそうな人物が第8回では初登場している。それが、竹中半兵衛(菅田将暉)だ。小一郎たちの墨俣砦を囮に北方城を攻める策は見破られていた。安藤守就(田中哲司)の兵と斬り合いになり、たまらず逃げているところに、松明を掲げた半兵衛が現れる。右手には扇子。「あの〜、こたびの策はどなたが考えたのでありますか?」と小一郎へと尋ねるのだ。呆気にとられる小一郎は追手の声に、その場を立ち去っていく。実に30秒ほどの短い場面ではあるが、インパクトを残す半兵衛の初登場シーンとなっている。……と書いておいて、実はこれが初登場ではなく、最初に画面に映るのは守就が半兵衛の庵を訪ねて来るシーンにある。パチンパチンと扇子を開閉する音。ちょこんと飛び出した髷。机には多くの書物が積み重なっている。織田の動きを「墨俣」と予測し、こたびは何かが違うと察知していたのは半兵衛だったのだ。
斎藤龍興(濱田龍臣)に仕える半兵衛は、のちに秀吉の参謀となっていく人物。主演の仲野太賀をはじめ、池松壮亮、そして信長を演じる小栗旬と親交の深い菅田将暉の登場によって、『豊臣兄弟!』はまた雰囲気を変えていきそうだ。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石 聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-P52L88MYXY
公式X(旧Twitter):@nhk_toyotomi
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