大人になると真の友は作れない? 教育熱心なママ友を描く『グリーン・マザーズ・クラブ』
そんな過去を持つ二人であり、ウンピョはルイのことも避けていたが、息子を塾に通わせるお金を少しでも稼ぐため、ルイが出版する本の翻訳をすることになる。既にお互い結婚し、状況が変わった三人の関係。ウンピョはジナに劣等感を感じていると告白するが、反対にジナはウンピョのことを羨ましく思っていたのではないか。ルイはなぜウンピョから簡単に離れていったのか。彼女たちの過去も気になるところだ。
ママ友同士の関係自体も興味深いが、そのつながりは子供たちの教育と頭脳に直結しているということがありありとわかる。ママたちは、将来子供を合格率上位3%の名門大学に入れるために、塾に行かせ、自分の学年より二学年先のカリキュラム勉強をさせる。受賞歴となるコンテストにも参加し、映画は字幕なしで見せるのが普通だ。そして優秀な子供の母親とだけ仲良くする。もちろん、この地区に住んでいないウンピョの知り合いの中には、自分の好きなように勉強させる親だっているが、彼女はこの教育熱心な地区へ越して来てしまったのだ。「自分の理想を子供に押しつける親は軽蔑するわ」と言うウンピョだったが、息子のドンソクは授業中注意散漫で怒られ、簡単な問題も解けず珍回答を連発する子として噂が広まってしまう。他の子と同じように塾に入れさせようとしてみるものの、つまらないという息子に頭を抱えていた。ついには「ランク外の問題児」と呼ばれるようになり、転居を決意するまでに至ってしまうのだった。
しかし学校の先生に呼び出され、問題は解けないものの考え方が普通ではないと言われたことを機に知能テストを受けさせてみることに。結果、ドンソクは上位0.01%に入る高知能児と診断されたのだった。今まで他の子供と違い、落ち着きがないドンソクに手を焼いていたウンピョだったが、ドンソクの能力が認められ、少し教育へのプレッシャーから解放されたように見えた。しかしながら、今までおもちゃで遊ぶ姿や字を書く姿を見て、ドンソクの才能を見逃してしまっていたことにも気が付く。英才教育をして他と同じように「頭の良い子」を育てるのではなく、その子の得意なことを見極めて伸ばしてあげることこそが重要なのではないだろうか。何で皆と同じようにできないのかを責め立てるのではなく、なぜそのようにしようと持ったのか、子供の心に耳を傾けることが重要なのだと教えてくれる。
一見ドロドロとした母親同士の関係が描写されているように見えるが、そうではない。一人一人女性として、人間としてのドラマが描かれている。親になるとどうしても人を育てることにばかり集中してしまいがちだが、大人になっても誰もが自分自身を模索している。今後ウンピョは自分の過去とどう対峙し、どうこの町で生きていくのか、見守りたいところだ。
■配信情報
『グリーン・マザーズ・クラブ』
Netflixにて、毎週木曜・金曜に最新話配信
演出: ラ・ハナ
出演: イ・ヨウォン、チュ・ジャヒョン、キム・ギュリ、チャン・ヘジン
(写真は JTBC公式サイトより)