ユニークさにハマるドラマ『ムーンナイト』 敵との関係性、謎のQRコードまで徹底解説

『ムーンナイト』第2話まで徹底解説

 うまいなと思うのは、コミックではどちらかというとマークが主人公でスティーヴンがサブ人格的なのに対し、ドラマはスティーヴンの人格を(少なくと現時点までは)主役にしています。それ故、およそヒーローらしからぬ気弱で平凡な主人公がとんでもない事件に巻き込まれるから、観ているこちらも感情移入しやすい。彼を役を演じるオスカー・アイザックが素晴らしい演技を見せてくれます。なお、アイザックはMCU初参加ですがマーベル・キャラを演じるのは3回目。まず『X-MEN:アポカリプス』でメインヴィランのアポカリプスを演じています(この時、日本語吹替版の声は松平健さんでした!)。そしてアカデミー賞をとったアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』で最後にチラっと登場する未来のスパイダーマン、スパイダーマン2099の声を演じています。

 一方アーサー役のイーサン・ホークのカリスマ感も秀逸。そもそもこのドラマは、アーサーの“見ているだけで痛い”という異常行動で幕をあけますから、インパクト大です。そしてコスチューム。デザイン的にはコミックのイメージ通りですが、このドラマではエジプトのミイラ男みたいな質感なのです。だから変身もミイラ男の包帯がマークの体を包むみたいな感じ。だからヒーローというより、ちょっと怪奇なダーク・ヒーローなのです。というわけで、本作は物語もアクションも面白い。

 さて先ほど、MCUとのしがらみはあまりないと書きましたが、ところどころに今までの(そしてこれからの)MCUとのリンクがあります。まずこのドラマにはエジプトの神々がモチーフとして登場しますが、『ブラックパンサー』に出てくる豹の女神バストは元々エジプトの神バステトに由来するものです。したがって『ブラックパンサー』でのワカンダの神話と『ムーンナイト』の神々の世界は繋がっている可能性があります。また夏公開のマイティ・ソー映画第4弾『ソー:ラブ・アンド・サンダー(原題)』は様々な神々が登場すると言われており『ムーンナイト』とリンクするかもしれません。そして、第2話に登場するバスの車体にGRCというグループの広告がありますが、これは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場した組織「Global Repatriation Council(世界再定住評議会)」のことです。この組織が出てくるということは、『ムーンナイト』の舞台がサノスの指パッチン回復後の世界ということがわかります。

 そしてこの『ムーンナイト』、劇中に何度かQRコードが出てきます。第1話は博物館館内、第2話はトランクルームの壁。これをスマホなどで読み取ると、ムーンナイトが初めて登場した『ウェアウルフ・バイ・ナイト(夜の狼男)』というコミックの電子版がフリーで読めるのです! 楽しいギミックですが、もともとムーンナイトは狼男が主人公のコミックで狼男を倒す傭兵としてデビューしたのです。この『ウェアウルフ・バイ・ナイト』もディズニープラス×MCUのハロウィン番組としてドラマ化される噂があり、ここにムーンナイトも登場するかもしれませんね。

■配信情報
『ムーンナイト』
ディズニープラスにて、独占配信中(毎週水曜新エピソード配信)
(c)2022 Disney and its related entities

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