『塔の上のラプンツェル』が示した新時代のプリンセス像 中川翔子の吹き替えにも注目

 『塔の上のラプンツェル』は、彼女にとって初めて長編アニメーションで主人公を演じた作品となった。新しいものを恐れず貪欲に我が道を切り拓いて来た中川の姿が、ラプンツェルの冒険心と重なるとして抜擢されたという。もともとディズニー作品も好きだった中川は、ラプンツェルを演じるにあたって髪をラプンツェルと同じ金髪に染めたり、フロリダのディズニーワールドに足を運ぶなどして気持ちを作ったそう。努力の結果、中川は見事にラプンツェルに命を吹き込み、意識しなければ中川だということを忘れるほど役にマッチした。活発で好奇心旺盛なラプンツェルの心の機微を、とても丁寧に演じ上げている。以前から『ポケットモンスター』シリーズなどで声優ともしても活動していた中川だが、ラプンツェル役の高評価によって様々な映画吹き替えやアニメ作品に出演するようになった。ラプンツェルが、まさしく彼女にとっての出世作だったと言っていいだろう。

 また、アラン・メンケンの作曲による「自由への扉」「輝く未来」など名曲の数々も、『塔の上のラプンツェル』の魅力。歌唱パートはミュージカルを中心に活躍する女優・小此木麻里が担当し、夢や希望を与えてくれるような歌声を聴かせている。ちなみにテレビシリーズ『ラプンツェル ザ・シリーズ』では、中川が自ら歌唱パートも担当している。

 以前までのプリンセス像は、優雅で美しく王子様を待つ楚々としたイメージだったが、現在は性別や人種など様々な垣根を越えて、誰もが均等にチャンスが与えられる多様性の時代。今求められるプリンセス像は、きっとラプンツェルのようなプリンセスなのだろう。自ら行動を起こし知恵でピンチを切り抜けるラプンツェルが巻き起こすストーリーは、ドキドキのロマンスもあればワクワクの冒険活劇もあり、そして魔法というファンタジーもある。多面的な魅力を持った同作から、改めて今という時代を生きる力とヒントを得たい。

■放送情報
『塔の上のラプンツェル』
日本テレビ系にて、3月25日(金)21:00〜22:54放送
※本編ノーカット
監督:ネイサン・グレノ、バイロン・ハワード
製作総指揮:ジョン・ラセター、グレン・キーン
声の出演:中川翔子、小此木麻里、畠中洋、剣幸、飯島肇、岡田誠
(c)Disney. All rights reserved

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