結婚式の難題を“笑い”に昇華 『ウェディング・ハイ』は“新郎”中村倫也の葛藤も見どころに
本作の見どころの一つは、やはり結婚式といえばの余興シーンである。これも筆者の場合とは違って、余興のやりたがりがたくさん登場する。だが、時間が足りない。そんな中で披露される余興は、逆にとても貴重なものになっていた。ぜひ楽しんでほしい。
結婚式成功のためのウェディングプランナーの奮闘はもちろんだが、無理を言って頼む新郎の姿勢が素敵だなと思った。新婦・遥(関水渚)の「本当はこうしたいんだけど、でもこうだから、でもこうでもあるんだよね、どう思う?」という八方塞がりな質問に対し、新郎の彰人(中村倫也)はベストな回答をする。そこだけでも拍手を送りたい。劇中では、式の日取りや内容の細かい相談をしている際の彰人の心の声が漏れるのだが、「めんどくさいけどここはちゃんとやっとかないと、一生何か言われる」というそのスタンスを、披露宴中にどんなハプニングが起こってもブレさずに、成功へと導こうとする。それは、今後の結婚生活を考えて、ということもあるだろうが、相手を思う気持ちがやはり根本にあるからこそ。中村倫也が、振り回されつつも、ここは引き下がれないなぁ、しょうがないみたいな立ち回りを持ち前の柔軟さでうまく演じている。
本作ではそのような、結婚式で積み重なる小さな難題をいちいち拾い上げて、脚本家のバカリズムが面白くつついていく。皆が、実際はどう思っていて、どうしているのか、そのバランスをとって進行していく結婚式の裏には、いろんな人の地道な野望と練習と思いやりがあった。
挙式済みの人にとっては、あの頃を思い出し、今なら言える裏話をしてみるのも面白いだろうし、コロナ禍で参加できなかった結婚式がある人は、ぜひ代わりに映画館でこの結婚式に参列してほしい。結婚式の準備がきっかけで別れてしまうカップルがいるくらい、初めての2人の最大関門とも言える共同作業だろうが、本作を観ることで、もう少し気を張らず、上手いやり方を見つけられるヒントがもたらされたら最高だ。本作のように、結婚式は誰にとっても人生で最大に輝けるイベントであってほしい。
■公開情報
『ウェディング・ハイ』
3月12日(土)全国公開
出演:篠原涼子、中村倫也、関水渚、岩田剛典、向井理、高橋克実
脚本:バカリズム
監督:大九明子
主題歌:東京スカパラダイスオーケストラ 「君にサチアレ」(cutting edge / JUSTA RECORD)
配給:松竹
制作プロダクション:ホリプロ
製作:「ウェディング・ハイ」製作委員会
(c)2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/wedding-high-movie/
公式Twitter:https://twitter.com/wedding_high
公式Instagram:https://www.instagram.com/wedding_high_movie/