「『湯あがりスケッチ』穂波の湯あがり日記」第6湯 「なにものにも代えがたい朝の空気」

「穂波の湯あがり日記」第6湯

 塩谷歩波の『銭湯図解』を原案としたドラマ『湯あがりスケッチ』が2月3日よりひかりTVにて配信された。全8話で構成される本作は、毎話ごとに今も実際に営業している都内の銭湯と、それぞれのエピソードの鍵となる8人の女性が登場し、銭湯のように心温まる物語が紡がれていく。

 主人公・穂波を演じる小川紗良が、“穂波”として執筆した「穂波の湯あがり日記」が到着。各話で穂波が感じたこと、考えたことが、日記形式で綴られている。

第6湯 好きな人を思い浮かべるゆづ葉(新谷ゆづみ)ちゃんの瞳に宿る“朝”

 朝のルーティーンができてきた。太陽とともに起き上がり、冷たい水で顔を洗う。鉄のやかんでお湯を沸かして、ゆっくりと一杯飲む。髪を束ねて着替えたら、朝焼けの川沿いを走りに行く。心地好い汗をかいて家に戻れば、ほかほかの朝ごはんだ。通勤前のひとときを健やかに過ごせたら、なんだかその日はいいことあるような気がする。

 今でこそ暮らしにゆとりを持ちつつあるけれど、少し前までそうはいかなかった。「暮らし」と「仕事」の線引きができず、やるべきことに飲み込まれていく日々。食事や睡眠もまともにとれず、好きなことすら見失いかけた。それでも立ち止まるのが怖くて走り続けていたけれど、いったん立ち止まってみた今、私はなにものにも代えがたい朝の空気を知った。

 今日は、そんな私の朝にスペシャルゲストが訪れた。愛之助(村上淳)さんの愛娘、ゆづ葉(新谷ゆづみ)ちゃん。高校生の彼女とはまだ微妙に距離感を掴めずにいたけれど、昨晩家出して私のもとへ来てくれたとき、ちょっと近づいたような気がして嬉しかった。探している間はとっても心配したけど、周りに心配かけるのも若さの特権だ。家出の理由はひとまず置いといて、こういうときは美味しいご飯とあったかいお風呂。

 「キラキラしてる」と好きな人を思い浮かべるゆづ葉ちゃんの表情が、露天の湯気に包まれて、同じくキラキラとしていた。ランニング後の朝風呂は、張りきった体も張りつめた心も、ゆったりとほぐす。思春期の只中で「銭湯が嫌い」と話す彼女も、この温もりにはきっと敵わない。初めて家出した夜を超えて、湯船に浸かる彼女の瞳に清々しい朝が宿っていた。

■放送情報
『湯あがりスケッチ』
ひかりTVにて、毎週木曜22:00〜配信【全8話】
原案:塩谷歩波『銭湯図解』
監督・脚本:中川龍太郎
出演:小川紗良、森崎ウィン、新谷ゆづみ、村上淳、伊藤万理華、安達祐実、臼田あさ美、室井滋、夏子、中田青渚、成海璃子
(c)ひかりTV
公式サイト:https://www.hikaritv.net/sp/yuagari-sketch/index.html?cid=ent_video_yuagari_sketch_of_6
公式Twitter:https://twitter.com/yuagari_sketch
特集ページ:https://realsound.jp/movie/2022/02/post-960070.html

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