『鎌倉殿の13人』佐藤浩市、18年ぶりの大河も流石の存在感 小栗旬とのしびれる対峙も

『鎌倉殿の13人』芹沢鴨のような佐藤浩市

 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)第7回「敵か、あるいは」。房総半島で再起を図る源頼朝(大泉洋)は有力豪族を味方に付けようと、上総広常(佐藤浩市)のもとへ和田義盛(横田栄司)と北条義時(小栗旬)を送り込んだ。第7回は、佐藤演じる広常の存在が強い印象を残した。

 佐藤演じる広常が初めて登場したのは、第6回「悪い知らせ」の終盤。頼朝からの書状を読まずに握りつぶす姿から、すでに一筋縄ではいかない雰囲気を漂わせていた。

 佐藤は2004年に放送された三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『新選組!』で新選組初代局長・芹沢鴨を演じている。芹沢もまたクセのあるキャラクターだったが、SNS上では広常の迫力ある登場に芹沢の風格が思い出されたようで、「芹沢に見えてくる」「平安末期に芹沢さんが居る」「芹沢鴨の前世か」などの声があがっていた。第7回では頼朝が来ないことに対し、義盛と義時に「気に入らねえな」と口にするシーンがあるが、その口の悪さや横暴な雰囲気には、佐藤がかつて演じた芹沢の佇まいも確かに感じられる。

「この戦、俺がついた方が勝ちだ。さあ、正念場だよ、雑魚さん方よ」

 広常を味方に引き入れたいのは頼朝だけではない。平家方の大庭景親(國村隼)も梶原景時(中村獅童)を使いに出し、広常を味方に付けようとしていた。上記の台詞を口にしながら、広常は鋭い眼光で義盛と義時を見やる。演じている佐藤の口ぶりは静かだが、睨みを利かせるその目つきに、広常の揺るぎない自信が感じられる。佐藤の眼差しは「この戦、俺がついた方が勝ちだ」が言葉通りだと思わせる説得力に満ちている。

 相手の反応を楽しみながら、相手がどう出るかを見極めている表情も忘れられない。義盛と義時、そして景時が対峙した時、広常は「斬り合っても構わねえぞ」と言いながら、その様子を悠々と眺めていた。

 広常の、相手を見定める目は頼朝に対しても向けられる。大軍勢を率いて頼朝のもとへ向かう道中で、彼はひなたぼっこをしていた。広常は「頼朝は太刀を突きつけられているのさ。喉元にな」と言う。この時、佐藤は笑っている。初めて対面する頼朝が、遅参にどう対応するかを楽しみにしていたのだ。広常は、頼朝の態度によっては首をその場で討ち取るつもりだった。頼朝が広常の遅参を叱責したことで、広常は頼朝に従うことを決める。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる