岡山天音と早乙女太一、『ミステリと言う勿れ』で『最愛』『カムカム』と異なる怪演ぶり
天使とカエルの登場により、整(菅田将暉)に命の危機が迫る『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の第6話。火の象形文字を模したマークと次々に起こる火事、そして虐待された子どもの存在。不可解な事件の裏に隠れる「親と子」の歪みを整はどう解釈していくのだろうか。
整がライカ(門脇麦)によって導かれたのは、火のマークが描かれた火災現場だった。同一のマークによる火事が頻発する時期と、放火犯の井原香音人(早乙女太一)が医療少年院から出所したタイミングが重なることで警察は事件性を疑っている。同時期に、整は病院で井原と共に行動する男・下戸陸太(岡山天音)と出会う。だが、整が火事について関心を示したことで、下戸から目をつけられてしまった。そしてある夜、おびき出された整は病院の倉庫で燃やされそうになる。
整にピンチが迫る中、物語は来週へと続く。だが事件は解決に至らずとも、呼吸を忘れるほど夢中になって画面にのめり込んでしまう。本作は限られたシチュエーション、限られた登場人物の中、整の達観した価値観や長台詞が見せ場となっている。しかしこれほどまでに視聴者を虜にする理由はまだあるように思う。よく練られたストーリーや整の魅力的なキャラクター性に加え、原作コミックキャラクターの再現度の高さも本作に華を添えているのではないか。個性的な名前に、金髪やモジャモジャ頭。実写で表現するにはややクセのあるキャラクターたちは、美術、衣装、ヘアメイク、演出、監督、そしてキャストが一丸となって作り上げることで、現実世界を生きる「人物」としての輪郭をよりはっきりと際立たせる。力のある役者が丁寧に表現することで完成する世界観こそが、我々を極上のドラマ体験へと導いてくれるのだ。
菅田将暉や伊藤沙莉の演じるメインキャラクターにとどまらず、各話で存在感を放つゲストもまた素晴らしい。第6話のゲストは岡山天音と早乙女太一。岡山は昨年秋に放送された『最愛』(TBS系)にて刑事の藤井役としてドラマのミステリパートに大きく貢献した。また早乙女はNHK朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でトランぺッターのトミー北沢役で白いスーツを着こなし、黄色い声援を浴びていた。一転、『ミステリと言う勿れ』では白いフードをまとい、自身を「天使」と名乗る、美しい放火魔を演じる。両者ともにガラリとイメージを変え視聴者の前に現れては、“怪演”ぶりを見せつけてくれた。