『ドクターホワイト』が映し出した家族の形 『ミステリ』とも響き合う普遍的なテーマ

『ドクターホワイト』が映し出した家族の形

 病気が映し出したのは家族の形だった。『ドクターホワイト』(カンテレ・フジテレビ系)第3話は家族がテーマ。優馬(森島律斗)は公園の遊具から落ちて小児科に入院。検査で異常はなく退院予定だったが、突然倒れてしまう。原因を探るため、CDTが集められる。気難しい性格の優馬は、何を聞かれても「なんともない。大丈夫」の一点張りで、心を開こうとしない。そんな優馬に、白夜(浜辺美波)は独特のアプローチを試みる。

ドクターホワイト

 お気に入りのロボットのおもちゃから、優馬の信頼を得ることに成功した白夜。子どもたちから教わった「かわいい」と「格好いい」がヒントになった。診断により、優馬は生まれつき腎臓が一つしかない片腎症であることがわかる。しかし、優馬の症状は片腎症だけでは説明がつかないものだった。白夜の勧めで尿の細胞診を行った結果、優馬は腎腫瘍であることが判明。早急に腎臓を摘出し、母・絵美里(野波麻帆)から腎臓移植をする必要があった。けれども、優馬は頑なに手術を拒む。「お母さんの腎臓なんて絶対にいらない!」。父親を亡くしてからというもの、ことあるごとに反抗的な態度を取る優馬について、「私がきちんと愛情を注げていなかったから」と自分を責める絵美里。だが、白夜の見立ては違っていた。

ドクターホワイト

 どこからどこまでが「家族」なのだろう。血のつながりがなくても、一緒に暮らしている白夜を晴汝(岡崎紗絵)は家族であると話す。白夜を探して高森総合病院を訪ねてきた女性は、自身を保護者と名乗った。それに対して、白夜は「私はあなたのことを知りません」と返す。互いを知ることは家族に限らず、あらゆる関係のスタートにある。その上で必要なのは、寄り添うことではないだろうか。高森院長(石坂浩二)が、将貴(柄本佑)と晴汝を親代わりに面倒を見たように、単に“保護”するだけで終わらない心の通い合いは家族ならではのものだ。白夜は優馬の“家来”になることで孤独な少年の胸のうちを知り、すれ違っていた母子をつなぎ留めた。

ドクターホワイト

 「お父さんが格好いいのは、お母さんを笑顔にできるから」。優馬にとっての父親は、大好きな母を笑顔にできるヒーローだった。手術を拒み、大丈夫だと意地を張るのは、優馬なりの優しさと勇気だったのだ。母が子を想い、子が母を想う普遍的な心情。直前の時間帯に放送された『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)第4話に、柄本佑が記憶喪失の爆弾魔・三船三千夫役で出演し、作中で三好達治の詩『「乳母車』」が引用されていた偶然も手伝って、ひときわ印象深いシーンとなった。

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