『ミステリと言う勿れ』菅田将暉と小日向文世が繰り広げた病室での対話 門脇麦の存在感も
ほとんどのシーンが病室という限られたシチュエーションの中、幾重にも練られたストーリーで視聴者を引き込む『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の第5話。整(菅田将暉)が入院した部屋には、牛田(小日向文世)という年配の男がいた。その不思議な男から、マルクス・アウレーリウスの『自省録』を預かったことで事態は思わぬ展開に。
整は同室の牛田と夜更けまで語り明かす。しかし朝になってみると、彼の姿は忽然と消えており、看護師からは、牛田が整と出会う前に亡くなっていたと聞かされる。不思議な体験をした整だが、牛田の代わりに残された『自省録』を譲り受けることになる。
第5話で、夢か現実かもわからない牛田との対話を通して描かれたのは、病に対する整の考えだ。牛田は元刑事。頼れる相棒と共に数々の事件を解決してきたが、年老いて病に倒れ入院することになる。牛田はそんな自分を「病気に負けた」と語る。しかし整はその言葉に納得しなかった。「病に勝ち負けはない」と本作の見どころでもある整の持論を述べる。ここで整は、「病気」に対してよく使われる「病には勝てず」「病に負けて」「闘病の末、力尽きて」などを例に挙げ、これらの言葉がいかに辛辣であるかを語った。ただでさえ苦しんでいるのに、そこに追い討ちをかける必要はないというのが整の持論なのだ。病に倒れると、身体が弱っていくことに動揺し、できていたことができなくなり、ただでさえ劣等感や悔しさに苛まれる。自分の身体が思うようでないことは、心さえも蝕むのだ。「医療が負けるんです。患者本人が負けるんじゃない」という整の言葉は、病気との戦いに勝たなければいけないというプレッシャーから心を解放してくれるものだった。
その後、整は病院の中の小さな異変に気づく。院内の掲示物の多くには漢字のミスがあり、そこには暗号が隠されていたのだ。解読し温室に向かうと、さらに別の暗号に遭遇することになる。そして、ここで牛田が整に手渡した『自省録』が意味をなす。この本を使うことで解かれた暗号の果てに整が出会ったのは、ライカという女性だった。金髪のロングヘア、早口でページ数、行数、文字数を指定し、『自省録』を索引することで会話を成立させるというマニアックな手法を見せるライカを演じたのが門脇麦だ。映画『チワワちゃん』(2019年)、『あのこは貴族』(2021年)などに出演し、独特の佇まいが人気を博す。またNHK大河ドラマ『麒麟がくる』、では“史実に存在しないヒロイン”である駒を演じ、注目を集めた。今回のライカもまた、個性あふれるキャラクターであることは、短い出演時間ながらすでに伝わってくるだろう。門脇はこの先、どのような表情を見せ、どんな芝居を披露してくれるのだろうか。
ガロ(瑛太)と出会えると思っていた整には、奇しくも新たな出会いが訪れる。来週はまた別の事件が起こるようだが、今後の整、ライカ、そしてガロとの関わりも気になるところだ。
■放送情報
『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一ほか
原作:『ミステリと言う勿れ』 田村由美(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸、阿部博行
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
(c)田村由美/小学館 (c)フジテレビジョン
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