人間食べ食べカエルが紐解く、ホラー映画再興の10年 未来を託す各国の気鋭監督と作品

 そして、アジアにもホラーブームが大到来している。インドネシアからは『マカブル 永遠の血族』(2009年)で長編デビューを果たし、最近は『V/H/S/94(原題)』(2021年)など引く手あまたなハードコア・ホラーの申し子ティモ・ジャヤントが登場。タイではの『the EYE 【アイ】』(2002年)がヒットした頃から多くのホラーが作られていたが、ここ数年でその数が増加。特にNetflixでの存在感が増している。

 劇場公開枠では『哭声/コクソン』(2016年)のナ・ホンジンと『心霊写真』(2004年)のバンジョン・ピサヤタナクーンがタッグを組んだ、シャーマンホラー『The Medium(原題)』(2021年)の日本公開が期待される。お隣の韓国でも昔から『箪笥』(2003年)や『人形霊』(2004年)など良いホラーが生み出されていたが、こちらも再びホラー人気が加速。ファウンドフッテージ系の『コンジアム』(2018年)が大ヒットしたことも記憶に新しい。

『今、私たちの学校は...』Netflixにて独占配信中

 また、アニメ畑出身のヨン・サンホが『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)を出して以降、超ハイレベルな韓国産ゾンビ作品も続々と出ている。特にNetflixオリジナルのドラマシリーズ『キングダム』(2019年〜)と『今、私たちの学校は…』(2022年)は、信じられないくらい面白いので必見だ。また、韓国ではキリスト教が根付いているため悪魔祓いホラーも充実している。やさぐれ神父と若手神父が手を組む『プリースト 悪魔を葬る者』(2015年)、悪魔祓いパンチが炸裂する『ディヴァイン・フューリー/使者』(2019年)、姿を変える悪魔が家族を蝕む『メタモルフォーゼ/変身』(2019年)などはいずれも秀作だ。今や韓国もすっかりホラー大国である。

『返校 言葉が失われた日』(c)Production Film Co. ALL RIGHTS RESERVED.

 そして今、アジアで最もホラー映画生産国として期待されるのが台湾だ。いじめ問題と人食いグールを掛け合わせた青春ホラー『怪怪怪怪物』(2017年)や、捻りの効いた心霊ホラー『呪われの橋』(2020年)、同名ゲームの映画化『返校 言葉が失われた日』(2019年)など素晴らしい作品を生み出してきた。なぜか日本には番外編しか来ていないが、台湾都市伝説である赤い服の女の子を題材にした『紅衣小女孩』シリーズ(2015年〜)は、本国で超大ヒットを叩き出している。そして、台湾ホラーの中でも今後の日本公開が超期待される作品が2作ある。1つ目は謎の感染により人々が大発狂&大殺戮を繰り広げるド級のバイオレンス・ホラー『哭悲(原題)』(2021年)、2つ目は不気味極まりない予告編で世界中を恐怖のどん底に叩き落した『咒(原題)』(2021年)だ。これは、どちらも絶対に日本で公開してほしい……!

関連記事