それぞれの“片想い”が描かれる『その年、私たちは』 友達に戻った元恋人の今後にも注目
さて、ウンはヨンスと「友達になろう」と結論を出した。吹っ切れた様子でヨンスは“友達として”一緒の時間を過ごすが、ウンとの距離が今まで以上に近くなれば近くなるほど自分の気持ちに正直になっていく。別れを告げた瞬間もウンが大好きで、別れてから一度もウンを忘れたことのないヨンスは「今でもウンが好き」とやっと口にできた。大きい一歩を踏み出したと同時に、ウンとは友達になれない最大の理由にもなり、ヨンスの“片思い”が始まったわけだ。
ウンはヨンスと本当に友達になりたかったのだろうか。ジウンの言う通り、ケンカするのに疲れて友達になったというのも一理あるかもしれない。しかし、ウンの気持ちの裏にある一番大きなものは“ヨンスをもう一度失う怖さ”だろう。元恋人同士がヨリを戻すには、初めて付き合う時に比ベてそれなりの覚悟が必要だ。ヨンスは覚悟をしてウンともう一度付き合いたいわけではなく、ただ今は好きだから友達にはなれないというシンプルな理由なのだろう。終わりがくることを経験した二人だからこそ、別れの怖さや後悔の苦しみを知っているからこそ、勢いには任せられない。
一人ひとりにスポットライトが当てられ、ウンやヨンスだけでなく、ジウンやNJ、チェランの立場からも同じような経験をしたいつかの自分と重ねてしまう場面を毎回見つけては共感してしまう本作。同じ回を繰り返し観ても感じ方が変わり、心に残るOSTも違ってくるから興味深い。今後は、片思いをしている者たちが舞台に上がってくるようだ。ジウンが撮ったドキュメンタリーの映像に映るヨンスを見て、ジウンの気持ちに気付いたウンは今までのように軽いヤキモチを妬くだけでは済まないだろう。だからといって、友達でいることを選んでしまった以上、ジウンとヨンスの仲を邪魔する権利はない。元恋人が友達になり、友達がライバルになる新たな展開を楽しんでいきたい。
■配信情報
『その年、私たちは』
Netflixにて独占配信中