『カムカムエヴリバディ』算太がクリスマスに帰ってきた　死の淵で過ごした母とのひととき

　算太の口から語られた話とは異なる回想シーンを通じて、算太の本当の思いがあふれ出す。死の淵に立つ算太が見たのは母・小しず（西田尚美）の姿だった。算太は今までのことを金太と小しずに謝って、それから自分のダンスを見てもらいたかったと口にする。でも今は何の気力も湧かないと気落ちする算太に、美都里は「あほじゃねえ。生きとるだけで、ええんじゃ」と優しく言った。美都里がこの言葉を本当にかけたかった人物は稔だったと思う。しかし、愛する人を亡くした美都里だからこそ、愛する人を亡くして傷ついた算太の心に気づいたのだとも思う。息子を思う母の気持ちは美都里も小しずも同じ。美都里に抱きしめられ、「よう生きとってくれたねえ」と言う小しずの声を思い出した算太は「母ちゃん……」と子供のように泣きじゃくった。

　お調子者の算太は、もしかすると、これまでもおどけることで辛い出来事を乗り越えてきた人物なのかもしれない。そんな算太の心を解きほぐしたのは母親の愛情だった。美都里と算太のやりとりに心を揺さぶられる回となった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本：藤本有紀
制作統括：堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽：金子隆博
主題歌：AI「アルデバラン」
プロデューサー：葛西勇也・橋本果奈
演出：安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか　
写真提供＝NHK