松村北斗、初の朝ドラで得た役者としての自信 「嬉しさと同時に改めて責任感が芽生えた」

松村北斗『カムカム』で得た役者としての自信

 NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の放送が開始されてから約1カ月。ここまでの話の中で、もっとも視聴者にインパクトを与えたと言っていいのが、雉真稔を演じた松村北斗だ。第3話の初登場シーンの圧倒的な爽やかさ、流暢な英語、そして何よりも初代ヒロイン・安子(上白石萌音)が恋する相手として、十二分な説得力を持った青年として作品の中で大きな役割を担った。松村に初の“朝ドラ”出演となった本作での思いを聞いた。

「どのセリフも大切な言葉ばかり」

――松村さんから見て、演じた稔をどんなキャラクターと捉えていましたか?

松村北斗(以下、松村):雉真繊維の長男として生まれ、幼い頃から期待をかけられてきた人間なんだなと感じました。周りから“しっかりしている”と思われているからこそ、しっかりしなくてはいけない”と自分に言い聞かせてきた人。でも、内面は成長し切っていない部分もあり、だからこその危うさみたいなものを表現できたらと思っていました。僕自身も、周囲が望む姿と本当の自分の姿とのギャップみたいなものはあったので、稔の気持ちも分かりましたし、誰もがその思いは感じたことがあるのではないかなと思います。よく分かるというか、僕も分かるしきっとみんなあるだろうなって思いますね。

――第3話での安子と稔の出会いのシーンは最初からとても素敵でした。

松村:少し変な言い方ですが、「めっちゃ“朝ドラ”っぽい」と思いました(笑)。現代ではなかなかない出会い方ですよね。出会いのシーンもそうですが、これまで経験したことのないシチュエーションや、撮影のリズムなど、本当に“朝ドラ”でしか体験できないものが沢山ありました。これまでもお芝居はさせていただいてきましたが、『カムカムエヴリバディ』の現場は、1時間、2時間のドラマや映画とはまったく違う感覚でした。台本も1話15分の中に濃密なメッセージが込められています。それを理解して表現するのがこんなに難しいんだなって。余白が許されないと言いますか、本当に毎回の撮影が必死の思いでした。

――父・千吉(段田安則)が稔の思いを知り変化してく様子は、第3週の大きな見どころのひとつでした。

松村:父と子の距離感は現代とは大きく違うところですよね。安子や稔が生きていた時代は父親の言葉が絶対であり、父親に向かって自分の意見を伝えるというのは物凄い覚悟がいることで。千吉さんを演じられる段田さんの説得力のあるお芝居に圧倒されました。稔としても、僕自身としても、“父”から多くのことを学ばせていただいた現場でした。特に好きなシーンは、稔が初めて母さん(美都里/YOU)に真っ向から反発した後で、父さんと腹を割って話すところ。稔の言葉もそうですし、あのシーンで流れている空気感がすごく好きでした。

ーー“朝ドラ”と言えば、一日の撮影機会が多いこともあり、覚えるセリフも膨大なものだたったと思います。

松村:そうですね、本当に覚える量は多かったです(笑)。しかも、どのセリフも大切な言葉ばかりで。物語を進める意味でも、物語を通して視聴者の皆さんへ伝えるメッセージとしても、大切な言葉が沢山詰まっていました。

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