『カムカムエヴリバディ』稔の戦死の知らせから半月 雉真家と安子の関係性に変化が

『カムカム』戦死の知らせから半月

 稔(松村北斗)の戦死の知らせから半月が過ぎた。幼いるい(今井望鈴)のために「ひなたの道を歩けば人生は輝く」と歌う安子(上白石萌音)だったが、安子はまだ暗闇から抜け出せずにいる。NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第5週初日を迎え、稔亡き後の雉真家の生活が描かれた。

 稔を失い、憔悴しきった美都里(YOU)は食事に手をつけない。亡くなった稔のことだけを想い続ける美都里の言葉は、安子の心をじわじわと痛めつける。それでも安子は美都里を気遣い、「せめておみそ汁だけでも飲んでください」と温かいみそ汁を手渡すが、美都里はそれを払いのけた。

 稔の死から半月後、勇(村上虹郎)が置かれるの状況も変わる。勇は千吉(段田安則)から大学に退学届を出せと言われる。勇は雉真の後継ぎとなったのだ。春からの復学を待ち望んでいた様子の勇は「わしゃあ野球しか能がねえんじゃ」と千吉に訴えかけるが、「できんでもやるんじゃ」と千吉に押し切られる。安子の前で「こねん形でわしの野球人生が終わるたあのう」と口にする勇は「全部……戦争のせいじゃ」とも言った。

 そんな勇とは対照的に、美都里は稔が亡くなったのは安子のせいだと言う。部屋で休む美都里の元へやってきた安子に美都里は言う。

「あんたが稔をそそのかして稔の人生を狂わせたんじゃ。あんたが殺したようなもんじゃ!」

 稔を失い、深い悲しみに暮れているのは安子も同じ。あまりにもひどい言葉に安子は「あんまりです」と涙ながらに返すのだが、安子の気持ちは美都里に伝わらない。美都里は安子を「疫病神」と呼び、この家から出ていけと大声をあげた。それでも安子は「私は稔さんの妻でるいの母親です。どこへも行きません」とはっきり口にした。

 しかし安子は、千吉から再婚をうながされる。千吉の口ぶりは安子を気遣っているようにも思えるが、るいはどうなるのかと安子が聞くと、彼は当然のように「るいは雉真の子じゃ。うちで育てることになる」と言った。後に千吉は「ここに縛りつけておくよりも新しい人生を生きてほしい。きっと稔もそう望んどるじゃろう」と言う。この言葉や千吉の表情から、千吉は千吉なりに安子を思って再婚を勧めたことは分かる。けれど母親である安子にとって、子供と引き離されることは何より酷なことだった。安子は再婚を断り、「私からるいを奪わんでください」と頭を下げた。

 やりきれない思いを安子にぶつけるしかない美都里の苦しみも、安子にとっては酷なことでも彼女を思い再婚をうながした千吉の優しさも、わからなくはないのだが、だからこそ、安子の悲しみや心苦しさが際立つ。物語の終わり、千吉と安子が話すのを聞いていた勇は、遅い時間に安子の元を訪れると、安子にそっとお金を手渡し「この家を出て、るいと2人で暮らすんじゃ」と言った。るいとともに生きる道は開かれたが、その道のりは険しいものになるのだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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