『二月の勝者』少しずつ見えてきた柳楽優弥演じる黒木の素顔 加藤シゲアキが思いを吐露

『二月の勝者』見えてきた黒木の素顔

 中学受験のリアルを描いたドラマ『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』(日本テレビ系)も後半戦。「桜花ゼミナール」の講師陣や、名門進学塾「ルトワック」の講師・灰谷(加藤シゲアキ)、主人公・黒木蔵人(柳楽優弥)の素顔が少しずつ見えてきた。

 桜花ゼミナール入塾前、「仲間はずれになりたくない」と泣いていた王羅(横山歩)。同系列、同ビル内とはいえ個別指導塾・ブルーミングへの転向という結末は果たして、と思ったのだがーー。「俺は見てるからな」という橘(池田鉄洋)の言葉と、王羅を見つめる厳しくも優しい眼差し、そしてのびのびと朗らかなままの王羅の笑顔を見て、これは良き選択だっのだと思うことができた。「見ていてくれる人」「気にかけてくれる人」がいる、王羅と家族にとっての“良い場所”は、ちゃんと続いていく。

 「どうすれば他の子と同じように」勉強してくれるのだろうかと、幼く奔放な王羅に手を焼いていることを橘に打ち明けた佐倉(井上真央)。橘は同意しながらも「小学生は本来ああいうもの」「毎日塾に来て座っていることが偉い」と呟いた。受験生と向き合っていると忘れてしまいがちな「当たり前の視点」で、橘は桜花ゼミナールに通う受験生たちを見つめていた。

 従来なら、橘のようなキャラクターが塾長を務めるストーリーが王道であったかもしれない。努力と根性の熱血派、生徒と近い距離で向き合い、良くできれば褒め、良くないことは叱る。ザリガニに夢中になって池にハマり、泥まみれで登校した生徒の下着や靴を洗って干してやるような先生だ。それぞれが良い方向、良いところへと向かった結末も含め、ひととき懐かしい学園ドラマを見たような気持ちになった。

 「他の子と同じように」学べないのは、学ばなくていい理由にも、学ぶ場を奪う理由にもならない。「他の子と同じ」ではなくとも、学ぶ方法はある。それは、無料塾「STAR FISH」で多くの生徒を教える黒木らしい発想だった。今回、ついに佐倉と灰谷が「STAR FISH」に足を踏み入れ、黒木のもう一つの顔を知ることになったのだがーー第6話、まるで果たし状を渡すかのような面持ちで灰谷に「しょうたいじょう」を渡すシーンも印象に残ったが、灰谷が9月生まれだと分かっていて招待したのかと思うと、なんだか黒木がチャーミングに思えてくる。

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