『映画プリキュア』で伝えたいこと 志水淳児監督が子どもたちへ送るメッセージ

『映画プリキュア』監督が伝えたいメッセージ

「“子ども向け”に逃げない」

ーーローラとシャロン王女を中心とした話運びがシンプルかつ、『ハトプリ』のキーワードである“こころの花”という要素も丁寧に盛り込まれ、感動に繋がっていたと思います。脚本を手がけたのは過去にも『プリキュア』作品に関わってきた成田良美さんですが、成田さんの脚本の魅力はどの部分にあると思いますか?

志水:「“子ども向け”に逃げない」ということでしょうか。「子ども向けだからこうしよう」みたいな話にするのではなく、誰にとっても刺さるものを書いていただけるので。

ーー『映画トロプリ』のオリジナルキャラクターであるシャロン王女は、心根は優しいけれど過去に固執してしまっているような、少し複雑な人間性でしたね。

志水:完全な悪役にはならないようなバランスには気をつけました。最終的にはお客様にも助けてあげたいと思ってもらえるように、言葉づかいも棘がありすぎないものにしましょうと。

ーー『映画トロプリ』は考えようによっては少し残酷な結末でした。シャロン王女が別の人生を歩んでいく展開も考えられたと思いますが、本作の結末をどのように受け取ってほしいと考えていますか?

志水:シャロンは本当はとっくの昔に亡くなっている人なので、プリキュアにも、誰にもその命を救うことはできないんですよね。じゃあプリキュアたちはその結末をどう受け止めればいいのか? 今回はそこを大事に描きたかったんです。

ーー『プリキュア』シリーズといえば、 お子様だけでなくその親世代にも支持されていますよね。やはりそのあたりも意識されているのでしょうか?

志水:親子で感想を言い合ったりして、視点の違いを埋めるようなコミュニケーションを取ってもらえたらとは思っています。それでお子様が新しくいろんなことを考えるようになったり、成長するきっかけになれば嬉しいです。やっぱりお子様のために作っている作品なので、その親世代の方々にはお子様では分からなかったことを教えてあげてほしいです。余白を補完していただくような役割をお願いできればと思っています。

ーー最後に志水監督が『プリキュア』シリーズを通して届けたいメッセージについてお聞かせください。

志水:やはりプリキュアたちが頑張っている姿を見せたいです。頑張ることで何かが変わるかもしれない、少しだけでも状況が変えられるかもしれない、ということをお子様たちに伝えられたらと思っています。

■公開情報
『映画トロピカル〜ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪』
公開中
声の出演:ファイルーズあい、日高里菜、花守ゆみり、石川由依、瀬戸麻沙美、田中あいみ、 水樹奈々、水沢史絵、桑島法子、久川綾、川田妙子、くまいもとこ、菊池こころ
ゲスト声優:松本まりか
映画主題歌:「シャンティア〜しあわせのくに〜」作詞:六ツ見純代/作曲・編曲:森いづみ
原作:東堂いづみ
監督:志水淳児
脚本:成田良美
音楽:寺田志保
キャラクターデザイン・総作画監督:上野ケン
美術監督:倉橋隆
色彩設計:清田直美
CGディレクター:大曽根悠介
撮影監督:高橋賢司(※「高」はハシゴダカが正式表記)
製作担当:村上昌裕
配給:東映
(c)2021 映画トロピカル~ジュ!プリキュア製作委員会
公式サイト:2021.precure-movie.com/
公式Twitter:@precure_movie
公式Instagram:precure_curesta
公式LINE:@precure

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる