及川光博が明かす『最愛』“ブキミッチー”の演出 鼻血シーンはデヴィッド・リンチを意識?

及川光博が語る『最愛』“ブキミッチー”

ラストシーンへの希望

――今回のドラマのタイトル『最愛』にちなみ、後藤専務の最も愛おしいと感じるところはどこでしょうか?

及川:後藤専務の衣装ですね。会社内やその周辺では、マオカラーのジャケットですが、外出するときは、普通にスーツにネクタイ。つまり後藤専務は、会社に来てマオカラーにわざわざ着替えているんですよ(笑)。ここが最愛ポイントです。それは台本上、どこにも説明されていないんですけど、気づいてしまいました。変わったマイルールですが、そこが可愛いというか、人として愛おしいなと感じます。

――ミステリー作品としては、本作はどのようなエンディングになることを予想されて演じていますか?

及川:僕個人的に、横溝正史の『金田一耕助』シリーズが好きなんですけど、やっぱり後味が悪くても全然構わないので、ラストシーンだけ、何か心を優しく抱きしめるような終わり方だと嬉しいなと思います。だってこのドラマ、絶対後味悪くなるに決まってるじゃない(笑)? それでも、人間の業や悲しみを描いた後に、ちょっと救われるラストシーンがあるといいなと思っています。

――新井プロデューサーや、塚原監督から言われて印象に残っている演出などはありますか?

及川:あまり細かく指示はされませんね。基本的には、無表情で何を考えているかわからない男、不気味な存在感という打ち合わせのもとに、僕も、余計なことをしないように努めているので。新井プロデューサーからは、「ブキミッチー最高です!」って言われるし、塚原監督からは「素敵です!」と、ハートマーク付で言われます(笑)。強いて言えば、襟を直すという後藤の癖を第1話の撮影中に塚原さんと考えました。第5話では加瀬に迫られて、肩のあたりを掴まれた時に払いながら直すというアドリブが、おのずと出てきましたね。

――ファンの方々から「ブキミッチー」に対する反響はございましたか?

及川:うちのベイベーたちは慣れたものですよ。嫌味な役をやれば「イヤミッチー」、キザな役をやれば「キザミッチー」、朝イチのロケで顔がむくんでいたら「ムクミッチー」(笑)。僕のバリエーションをみんな楽しんでくれていると思います。

――ちなみに、「ブキミッチー」は演じていて楽しいですか?

及川:楽しいです。ただ、この1クールでいいかなと思っています(笑)。顔の筋肉を動かさないってそれなりにストレスなんです。

――後藤は主人公の仲間ではなく、対立する役どころです。及川さんは、仲間側と対立する側、どちらにより面白さを感じられますか?

及川:どちらも、台本が面白ければ面白いですね。僕の場合、仲間側にいても、いつ裏切るか分からないというパターンが多いんですよ(笑)。敵対しようが、仲間であろうが、エンターテイメントとして多くの人に楽しんでもらえるように、いつでも心変わりが出来るように備えています。

――対立するような役どころの楽しさや難しさはありますか?

及川:楽しさは日常の自分と全く切り離せるところかな。役に引っ張られたりするタイプでもないので、切り替えて楽しんでいますね。難しいところは佇まいや所作に自分らしさを出さないこと。それはかなり意識しないと滲み出てしまうので、湯船につかって台本を読んでいる時も、現場への移動中も、イメージトレーニングをしています。

――油断してしまうと?

及川:油断するとキラキラしちゃう。カットがかかると、吉高ちゃんとキャッキャしてますよ(笑)。

――(笑)。撮影の合間は共演者の方とはどのようなお話を?

及川:スタッフもキャストも一丸となって仲が良くて、からかったり、からかわれたり、みんな笑っていますね。僕は昭和のオヤジギャグとか言ってます。

――SNSでの考察が盛り上がってますが、ご覧になることはありますか?

及川:噂では聞いていますよ。僕はチェックしてないんですけど、行きつけの店のマスターや大将が、質問してくるんだよね(笑)。「そんなのネタバレできっこないじゃん!」って、しらばっくれます。でも、SNS社会だからこそのドラマの楽しみ方ってあるんだなと思います。

――最後に、第6話以降に向けての見どころをお願いします。

及川:しつこく付きまとってくるフリー記者の橘しおりとどう決着をつけるか。そして、後藤が最も隠したかった真実とは何か。あと、次の鼻血チャンスはいつなのか!? 考察しながら楽しんでいただけたらと思います。

■放送情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:中西真央、東仲恵吾
主題歌:宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる