今一度問う、あなたは『DUNE/デューン』を観なくて本当にいいのか?

『DUNE』を観なくて本当にいいのか?

 先週末の動員ランキングは、『プリキュア』シリーズ劇場版30作目となる最新作『映画トロピカル〜ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』が土日2日間で動員14万1000人、興収1億7000万円をあげて初登場1位だった。ちょうど今作同様、全国的に緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も発出されていなかった時期にあたる今年3月20日に公開された前作『映画ヒーリングっど・プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』の同期間の成績は土日2日間で動員9万6000人、興収1億1500万円だったので、そこからは確かに増えてはいる。しかし、飲食業をはじめとして、世の中的にはかなり平常化のムードが広まっているのと同じように、映画館にも観客が戻っているのか戻っていないのか、全体の数字の低調さもあってまだ判断はしにくい。

 さて、今回も取り上げるのは前週初登場5位、先週末は2ランクダウンして7位の『DUNE/デューン 砂の惑星』だ。10月24日までの10日間の動員は26万5260人、興収は4億1790万6750円。当初の公開規模からするとお世辞にもヒットとは言えない成績に加えて、劇場側にとってはスクリーン効率の悪い2時間35分の長尺作品ということで、公開2週目にして早くも1日1回の上映に縮小する劇場も出てきている。

 一方、映画マーケット主要国の公開では最後となるアメリカで10月22日に公開された『DUNE/デューン』は、オープニング3日間で4010万ドル(約46億円)という大ヒットを記録。これでロシア、フランス、イギリスをはじめとする34ヵ国で初登場1位に。また、アメリカと同日に公開された中国でも初登場1位は逃したものの(初登場2位)、オープニング3日間で2200万ドル(約25億円)と大成功を収めている。同作の日本での興行不振については「PART 1なので話が全然終わってない」などの声も上がっているが、この結果から世界でほぼ日本だけがズレていることが浮き彫りになったかたちだ。さすが、2021年にもなって、人気俳優や人気アーティストを頭数だけ集めて四半世紀前のシチュエーションスリラーの不細工なリメイクを大真面目に作ってる国だとしか言いようがない(もっとも、先週末公開されたその作品も初登場5位と下位に沈んでいるが)。

 日本時間10月27日、『DUNE/デューン』を配給するワーナーと製作を手がけているレジェンダリー・ピクチャーズと主演のティモシー・シャラメは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督を筆頭に同じスタッフとキャストによる続編の製作が決定したことをソーシャルメディアで発表した。タイミング的にはアメリカ及び中国でのスタートダッシュを受けての最終判断であるとうかがえるが、注目すべきは、2023年10月20日とその本国公開日まで発表されている次作「PART 2」が、劇場のみの公開になるという情報だ。今回の『DUNE/デューン』は、アメリカ国内では今年公開された他のワーナー作品と同様にHBO Maxでの配信と同時公開となったが、複数のメディアによると、続編決定のアナウンスがここまで遅れた理由は、ヴィルヌーヴ監督が劇場のみでの公開を条件にワーナーと交渉を進めていたからだという(参考:https://deadline.com/2021/10/dune-sequel-greenlit-by-legendary-warner-bros-theatrical-release-1234862383/)。

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