「名前」で客が呼べない外国映画 『DUNE/デューン』の不発が突きつけるもの

『デューン』の不発が突きつけるもの

 先週末の動員ランキングは、『燃えよ剣』が土日2日間で動員15万4000人、興収2億1400万円をあげて初登場1位となった。初日から3日間の累計は3日間で動員20万9502人&興収2億8734万5250円。東宝とアスミック・エースの共同配給、司馬遼太郎原作、監督・脚本は原田眞人、岡田准一主演という座組での作品は2017年8月公開の『関ヶ原』以来。『関ヶ原』の公開時期は夏休み中、さらにその当時の国内メジャー作品は金曜日公開ではなく土曜日公開だったので単純な比較はできないが、初週土日2日間の成績では、今回の『燃えよ剣』は『関ヶ原』(最終興収24億円)の約54%という数字。当初の公開予定日だった2020年5月22日から、約1年半という大幅な延期を経ての公開となったことも、少なからず影響しているだろう。

 外国映画ファンにとって肩透かしの成績となってしまったのは、土日2日間の動員が9万1000人、興収が1億4800万円で初登場5位となった『DUNE/デューン 砂の惑星』だ。オープニング3日間の累計動員は12万7879人、興収2億385万4150円。北米や中国ではこれからの公開となるが、現在世界中で大ヒット中、日本でも714スクリーンでの公開と大きな期待を寄せられていた大作だけに、この数字ははっきりと物足りない。

 IMAXスクリーンに特化された作品という点ではクリストファー・ノーランの近作ともその性質が近い本作だが、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは日本ではまだノーランほどのブランドを築けていなく、世界的には同時代きってのスター俳優であるティモシー・シャラメやゼンデイヤも日本ではまだ客を呼べるアイコン的存在には育っていない。マーベル作品や『007』のようなフランチャイズ作品は別として、今の日本ではとにかく監督や役者の名前で客を呼ぶのが本当に難しくなってきている。

 ただし、「日本人の外国映画離れ」というトピックを語るなら、今回の『DUNE/デューン 砂の惑星』を「点」として語るだけではなく、ドゥニ・ヴィルヌーヴやティモシー・シャラメやゼンデイヤといった近年において明らかに際立った仕事を残してきて、世界的な信頼を集めてきた監督や役者の過去作が、これまで日本でどのように紹介されてきて、どのように受容されてきたかの「線」についても思いを巡らせる必要があるだろう。

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