二宮和也と瀬々敬久監督が初タッグ 山本幡男の半生描く『収容所から来た遺書』映画化

 二宮和也主演で辺見じゅんのノンフィクション小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』が映画化されることが発表された。

 本作は、1945年に零下40度を超える厳冬のシベリアで、死と隣り合わせの日々を過ごしながらも、家族を想い、仲間を想い、希望を胸に懸命に生きる男・山本幡男の壮絶な半生を描いた物語。第二次世界大戦終了後、60万人を超える日本人がシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留され捕虜となった。しかし、山本はあまりにも残酷な日々に誰もが絶望する状況下においても、ただ一人、生きることへの希望を捨てなかった人物だ。収容所での劣悪な環境により栄養失調で死に逝く者や自ら命を絶つ者、さらには日本人捕虜同士の諍いも絶えない中、「どんなに辛いことがあっても、生きて帰るという希望を持ち続けることが大切なんだ」と生きることへの希望を強く唱え続け、仲間たちを励まし続けた。自身も強制収容所に身を置き、わずかな食糧で1日10時間を超える過酷な労働を強いられていたが、仲間想いの行動とその力強い信念で多くの捕虜たちの心に希望の火を灯した。

 辺見は『男たちの大和』で新田次郎文学賞を受賞した作家。関係者への丹念な聞き取りを元に構成されているノンフィクション作品で高い評価を受けており、本作は発行部数20万部を超え、ベストセラーと謳われている。

 『母と暮せば』(2015年)で第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、『検察側の罪人』(2018年)で若き検事を演じ、第43回報知映画賞助演男優賞、第42回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した二宮。クリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』(2006年)では、家族のために生きて帰ることを固く誓い戦い続けた若き陸軍兵を確かな存在感で演じ、国内外に鮮烈な印象を残した。

 二宮は偉大な人物を演じるにあたり、小道具や衣装合わせの際にはより山本幡男に近づけるべく、試行錯誤を繰り返すこだわりを見せている。二宮は日本に帰り家族に会いたいと誰よりも強く願い、希望を持ち続けた山本の心情になぞらえて「“ただただ帰ることを想って、行ってきます。”」とコメントしている。

 監督を務めるのは、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)、『64-ロクヨン- 前編/後編』(2016年)、『ヘヴンズ ストーリー』(2010年)などの瀬々敬久。二宮とは本作が初タッグとなる。瀬々監督は「山本さんら多くの人々を追い詰めてしまった状況を再び作らないよう、戦争の起こした悲劇がもう再び起こらないよう、思いを込めて映画に取り組んでいきたい。そう思っています」とコメントしている。企画プロデュースは『黄泉がえり』や『余命1ヶ月の花嫁』など手掛けてきた平野隆、脚本は『永遠の0』林民夫が担当する。

 映画『収容所(ラーゲリ)から来た遺書(仮)』は2022年に公開予定。撮影は2021年10月下旬から2022年1月中旬を予定している。

山本幡男
『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』
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山本幡男
『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』
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コメント

二宮和也

“ただただ帰ることを想って、行ってきます。”

瀬々敬久

どんな状況でも「それでも生きろ」、「希望を捨てるな」そんなメッセージが山本幡男さんの苛烈な人生からは伝わってきます。
先日、山本さんが生まれ育ち、妻のモジミさんが子供たちと戦後を過ごした隠岐の島に行ってきました。山本さんの生家は今はなく竹藪となっていましたが、目の前はすぐに海。
海はどこまでも続くようで、ここから人生を始めシベリアの果てにたどり着いた、途方もない旅に思いを馳せました。
山本さんら多くの人々を追い詰めてしまった状況を再び作らないよう、
戦争の起こした悲劇がもう再び起こらないよう、思いを込めて映画に取り組んでいきたい。そう思っています。

■公開情報
『収容所(ラーゲリ)から来た遺書(仮)』
2022年、全国東宝系にて公開
出演:二宮和也ほか
原作:『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん著/文春文庫刊)
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫
企画プロデュース:平野隆
制作プロダクション:ツインズジャパン 
配給:東宝

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