『おかえりモネ』藤竜也の龍己がとにかく格好いい いぶし銀の存在感でドラマ支える
龍己の言葉に救われるのは百音だけではない。カキの研究をしている未知はもちろん、亜哉子(鈴木京香)も、民宿の再開を耕治(内野聖陽)に反対されたときに龍己から「自分の好きなようにしたらいいんだよ」と、さりげなく励ましてもらっていた。そして、何よりも「私ね、おばあちゃんが憧れの人なの。あそこまでの人になれるとは思わないけど、でも今から目指しても遅くないよね」と百音に電話で話した亜哉子に「俺のハニーも喜ぶよ。なぁ雅代」と声をかけるチャーミングさ。
片付けで慌ただしい中でも「モネちゃん、帰ってきてくれてありがとな」と龍己は丁寧に百音を労い、気象予報士として仕事を始めたばかりの頃も台風の進路を真っ先に伝えると、「こないだの台風のとき、ありがとな。モネのおかげでみんな助かったよ」と百音が一番望む言葉を投げかけてくれたのも龍己だった。
若い頃の龍己は遠洋漁業の船に乗っていたが、カキの養殖業に転向してからは手間ひまを惜しまず品評会で金賞を受賞するほど。寡黙だが、周囲の人に一目置かれる根っからの漁師である龍己役を演じるにあたり、藤竜也は筋力トレーニングや日焼けに励んだという。
ただ優しいだけでなく、自然の豊かさを伝えられる強さ、ハードボイルドな部分も備えているのも人として尊敬に値する。いぶし銀という言葉は、まさに龍己を演じる藤竜也のためにあるようにさえ感じる。抑えた艶のある演技が冴え渡る。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK