玉置玲央×高岡早紀が生み出す大人の安心感 沢渡の素顔が見えた『おかえりモネ』第18週
そして、彼が相手をよく見て、的確な判断ができる優秀な記者だということが分かる印象的なシーンが第90話にあった。台風の影響で長野の河川が氾濫する恐れがあると情報が寄せられ、朝岡は百音とインターネットを使った情報配信を始めたときのことだ。
Jテレでも河川の氾濫に関する根拠となる確実な情報を得ようと沢渡をはじめ、莉子や内田らが電話で確認を急ぐ。内田が川の越水を確認できた瞬間に高村が「分かった、裏取れた。出そう」と莉子と内田にスタジオ入りを急かすが、ラフな私服から着替えるのに10分はかかる。そこで沢渡が「だったら早くスタジオ行けばいいじゃないですか」と、いつも通りハイヒールにパンツスーツを着こなす高村に「まんまばっちりですよ」とキャスター復帰をアシストしたのだ。
報道番組の責任者として、とにかく正確な情報を厳選して伝えるということに強いこだわりがある高村。彼女のことを沢渡は「慎重っていわれてるけどね、高村さんは視聴者のためになる情報なら、何が何でもその場で出す。そういうとこは昔から変わってない」と尊敬をこめた表情で見つめる。彼のこの表情だけでも、2人の間には同志としての信頼関係が築けていることが伝わるのだ。
百音をはじめ莉子や内田、野坂ら若手を見ている沢渡や高村の大人の視線も頼もしく、彼らが道を切り開いてくれているという希望が感じられる。
台風が過ぎ、一段落ついたところで「俺も前ははっきり言って興味なかったですよ。気象なんて、地味だし」と本音をこぼす沢渡。「地味って言わない」と高村に嗜められると、「でも、今は違うんですよ。これ直接人の生活かかっているだろうって。記者として気象極めるのもあるんじゃないかとか、結構真剣に考えていて自分でも驚きます」と真面目な顔になる。
「まぁ、ニッチなとこ攻めてった方が生き残れますから」と普段のちょっとやさぐれた表情を作ると、「打算的なふりしちゃって」と見透かされたように高村が笑う。それぞれ、過去のうまくいかなかった経験を乗り越えた大人だからこその会話。余裕を感じさせるだけでなく、影響を受け合うことでさらに前に進もうとする、そのしたたかさも素敵だ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK