門脇麦「想像できないところにいきたかった」 新たなアプローチで挑んだ『うきわ』の裏側
「カテゴライズできない関係性だって絶対にある」
ーーそんな森山さんとの共演を振り返ってみて、いかがでしたか？
門脇：直太朗さんは、そこに立っているだけでもう既に物語が始まっている人なんですよね。普段、ご自身で“言葉”を書かれている方だから、一言一言発する言葉に対する責任感が、私のような普通の人間よりも遥かにある人なんだと思います。言葉のひとつひとつが、ものすごくちゃんと届く人だなと思いましたね。
ーー最初は役のこともあって距離を取られていたそうですが、撮影後は距離も縮まったそうですね。
門脇：いやもう、ものすごく仲良くなっちゃいました（笑）。私も直太朗さんもすごくマイペースなので、話すときは話すし、話さないときは話さないんです。でも、たっくん役の大東（駿介）さんがものすごくお喋りで（笑）。3人でよく分からないしりとりをしたり、ワードを発する度にそのワードに関する豆知識を披露しなきゃいけないゲームをやったり、大東さんが空気を和らげてくれていた感じはありましたね。
ーー今回の麻衣子もそうですが、やはり門脇さんは何かを抱えた役柄を演じることが多いですよね。逆にものすごく明るくて何も考えていないようなキャラクターを演じることは少ない印象です。
門脇：たぶん私自身が何も考えていないからだと思います（笑）。やっぱり人間って、他の人に対して自分の本音を隠そうとする部分があるから、例えば、普段すごく明るく振る舞ってる方が、家に帰って1人になると実はすごく落ちている、といったエピソードなど聞いたことがあるかと思います。私の勝手な想像ですが、そういう方って、普段から人前で明るく演じてるから明るい役が演じやすいんじゃないかな、と。私は普段から本当に何も考えていないので、こういう役をいただくことが多いんじゃないかなと思います。
ーーなるほど。
門脇：やっぱり自分にない役の方が演じやすいところがありますね。自分にあるものの方が、近すぎて難しいかもしれません。本当に“演じている”感覚ですね。でも、今回の麻衣子はものすごく難しくて、最後まで掴めませんでした。掴めずに終わっちゃった感じで……。
ーーそれは感情的な部分ですか？
門脇：感情もそうですし、考え方も行動原理も理解できなかったです。「なんでそんな行動するんだろう……？」みたいな。浮気されて傷ついたときに、「自分だったらこうはしないな」と思うことが結構多かったですね。
ーーちなみに今回の作品を経て、浮気や不倫に対する印象は変わりましたか？
門脇：やっぱり浮気はダメですね（笑）。周りの人が傷ついてしまうので。ただ、ドラマに関しては観る方の自由なので、「浮気最低！」とかでも全然いいと思うんですけど、今って全てのことをカテゴライズしがちじゃないですか。性別や性的嗜好、年齢とかもそうだと思うんですけど、いろいろなワードがある中で、どこかにカテゴライズする傾向にあると思うんです。でも、どのワードにも当てはまらない人たちも実際はいっぱいいて。「この人はこうだからこう」みたいに説明する人もたくさんいますけど、説明できないことも世の中にはいっぱいあると思うんですよね。
ーー今回のドラマでいうと、どこからが浮気なのか、とか。
門脇：今回は「友達以上、不倫未満」というサブタイトルがついていますが、それがいいか悪いかは置いておいて、「これは友達です」「これは不倫です」「これは浮気です」とカテゴライズできない関係性だって絶対にあると思うんです。その“いいか悪いか”を、外野の人たちが決めていいのか、と。ネットで“叩く”というのもそこに通じることで、当事者にしか分からないことだってきっとあると思うんです。この作品にはそういうことがテーマのひとつとしてあるので、そういった感情に少しでも触れることができればいいなと思います。
■放送情報
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
テレビ東京系にて、毎週月曜23:06～放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演：門脇麦、森山直太朗、田中樹（SixTONES）、高橋文哉、小西桜子、大東駿介、蓮佛美沙子、西田尚美
原作：野村宗弘『うきわ』（小学館ビッグスピリッツコミックス）
監督：風間太樹、太田良
脚本：倉光泰子、神田優
音楽：坂本秀一
チーフプロデューサー：阿部真士（テレビ東京）
プロデューサー：本間かなみ（テレビ東京）、滝山直史（テレビ東京）、唯野友歩（AOI Pro.）
制作：テレビ東京／AOI Pro.
製作著作：「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会
(c)野村宗弘・小学館／「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会
公式サイト：https://www.tv-tokyo.co.jp/ukiwa/
公式Twitter：@tx_ukiwa
