誰もが楽しめる知的な政治風刺劇 『スイング・ステート』のコメディ作品としての魅力

『スイング・ステート』を宇野維正がレビュー

 それにしても。本作を観ると、日本でよく言われる「二大政党によって数年おきに権力移譲が行われるアメリカ社会の健全さ」みたいな話が、いかに呑気な言説であるかを痛感させられる。日本のような事実上の一党独裁制に大いに問題があるように、二大政党制にも大いに問題があるのは、昨年のアメリカ大統領選後に起こった様々な事件からも明らかだろう。ただ、一つだけ羨ましいのは、アメリカでは本作のように党派性にとらわれず、エンターテインメントとして誰もが楽しめる、それでいてまったくヌルさのない、知的な政治風刺劇を担うジョン・スチュワートやスティーヴ・カレルのような才能が存在していることだ。

映画『スイング・ステート』予告編

■公開情報
『スイング・ステート』
9月17日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷、渋谷シネクイントほか全国ロードショー
出演:スティーヴ・カレル、クリス・クーパー、マッケンジー・デイヴィス、トファー・グレイス、ナターシャ・リオン、ローズ・バーン
監督・脚本:ジョン・スチュワート
配給:パルコ ユニバーサル映画
2020年/アメリカ/102分/カラー/ヴィスタ/原題:Irresistible
(c)2020 Focus Features, LLC. All Rights Reserved
公式サイト:swingstate-movie.com

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