相次ぐドラマ出演者のコロナ感染 撮影が中止されたドラマの運命やいかに

コロナ禍でのドラマ制作事情

 新型コロナウイルスの感染拡大がつづいている。日本も第5波に突入し、首都圏の20代から30代を中心に感染者が増えつづけているのだ。さらにデルタ株やラムダ株など、従来のものに比べ、より感染力の強い新種が国内でも発見されはじめ、危機感を募らせている人も多いだろう。芸能界でも感染者が増えており、2021年7月から放送が開始されたいくつかのドラマでは、出演者のコロナ感染による撮影の中断、放送延期が相次いでいる。ここでは、現在コロナがドラマ撮影に与えている影響を振り返っていきたい。

感染が公表されなかった石原さとみ

 2021年4月14日から6月9日に放送された『恋はDeepに』(日本テレビ系)では、石原さとみと綾野剛がW主演を務めた。しかし1月中旬の撮影初日、撮影前のPCR検査で石原が陽性と診断されたのだ。ところが当初彼女の感染は公表されず、自宅待機期間の2週間が経過したと思われる2月4日に所属事務所が“感染していた”ことを発表した。その後、同月11日にドラマが製作されることが明らかになる。なぜこのような対応がされたかというと、石原の感染が発覚した時点では、まだドラマの製作が発表されていなかったからだ。コロナへの感染を公表すれば、今後どのような仕事が控えているのか、どんな影響があるのかも明らかにしなければならない。ネガティブな話題であるコロナ感染の“ついで”に、新ドラマの製作を発表することは避ける必要があった。コロナ対策のため、あらかじめ4月放送のドラマの撮影を1月から開始するという余裕を持ったスケジュールを組んでいた同作は、放送が中断されることはなかったが、やはり撮影は間に合わず、全9話と石原がほとんど登場しない特別編が放送された。

撮影・放送が中断されたそれぞれのドラマの対応

 『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)で戸田恵梨香とともに主演を務めている永野芽郁は、7月23日にコロナに感染したことを発表した。その後、8月5日に仕事復帰したことを自身のInstagramで報告。『ハコヅメ』は8月4日放送予定だった第4話と、11日に放送予定だった第5話が延期され、代わりに2週にわたって特別編が放送された。

 仲野大賀は、7月11日に所属事務所のホームページにてコロナ感染を公表。彼が出演している『#家族募集します』(TBS系)は7月23日から8月6日まで、3話分の放送が延期になっている。もともとTBSは、7月30日には東京オリンピックの放送を予定していたため、そのぶんの余裕はあっただろう。しかし物語のキーパーソンで、主演の重岡大毅との共演シーンも多い仲野がいなければ、撮影は進まない。そこで大事を取って、第2話と第3話の間の放送を4週間延期するという対応をしたようだ。その代替番組としては、7月23日には4時間生放送のお笑い番組『ザ・ベストワン』を放送。8月6日にはこちらも4時間の特番で、お笑い芸人たちが歌を披露する『UTAGE!』が放送された。その後仲野は撮影に復帰したようで、8月13日の第3話放送直後には、重岡とともに番組公式インスタライブに登場している。

 8月31日、『ハコヅメ』の公式Twitterで、同作が9月15日放送の第9話にて最終回を迎えることが明らかになった。10分拡大での放送ではあるが、ストーリーは当初予定していたものから大幅に削られているだろう。一方『#家族募集します』は、いつ最終回が放送されるのか発表されていないが、予定通り11話まで放送されるとすれば最終回は10月8日となる。同じ枠の10月期ドラマ『最愛』はまだ放送開始日が発表されていないが、そちらに影響を与えることはできないだろう。そうなると、やはり話数を削るか、放送時間を延長したスペシャル版を放送するか、なんとかして物語を最後まで描き切ることが最適解かもしれない。

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