アッバス・キアロスタミ監督特集上映の予告編公開 黒沢清、津田健次郎らのコメントも
アッバス・キアロスタミ監督初期7作品のデジタルリマスター版特集上映『そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映』の予告編が公開された。
『友だちのうちはどこ?』にはじまるジグザグ道3部作や、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『桜桃の味』などで知られるイランを代表する映画監督キアロスタミ。生誕81年を記念して、初期の7作品がデジタルリマスター版でスクリーンに甦る。
本来は生誕80年である2020年に、フランス・パリのポンピドゥーセンターでの回顧展「Abbas Kiarostami Ou est l’ami Kiarostami?」に合わせて日本でも劇場公開を企画していたが、コロナによって回顧展が延期。その後、没後5周年となる 2021年5月に同展が開催されたのを受け、世界的にキアロスタミ監督の再評価が高まるなか、日本でも満を持してデジタルリマスター版が劇場初公開される。
今回上映されるのは、『トラベラー』『友だちのうちはどこ?』『ホームワーク』『そして人生はつづく』『オリーブの林をぬけて』『桜桃の味』『風が吹くまま』の7作品。パリのmk2、ニューヨークのクライテリオンコレクション、ボローニャのラボ、リマジネ・リトロヴァータが2年をかけて修復した4Kまたは2Kリマスター版となる。なお、上映は全作品2Kで行われる。
公開された予告編では、上映される7作品の映像が収められている。また、人気イラストレーター100%ORANGEによる描き下ろしイラストも公開。100%ORANGEのイラストは、会期中全7作品鑑賞するともらえるリピータープレゼントのトートバッグのイラストに使用される。
さらに、黒柳徹子、中江有里、津田健次郎、100%ORANGE、黒沢清、三宅唱、清原惟、小森はるかからコメントが到着した。
コメント
黒柳徹子(女優・ユニセフ親善大使)
教室の子どもの、ざわめきの声がタイトルバックに。ペルシア語がわかったら、どんなに面白いだろう。仕事に疲れてる方に、特に見ていただきたい映画。子どもの心を持ち続けているキアロスタミ監督に「最高です」と、拍手を送りたい。
——映画『友だちのうちはどこ?』
中江有里(女優・作家・歌手)
ささやかで、あっけなく見失ってしまいそうな生の輝きが細部からあふれていた。観終わった今もあどけないアハマッドの眼が心に焼き付いている。
——映画『友だちのうちはどこ?』
津田健次郎(俳優・声優)
ジグザグの道を行ったり来たり。そんな人間達を深く真摯に見つめる眼差し。その眼差しは私達を連れて行く。知らないけど知っている場所。やがて日常に戻った時、同じ景色は少しだけ違って見える。
黒沢清(映画監督)
ひょっとすると我々は、キアロスタミ作品を見るたびに、リュミエールの『工場の出口』を人類が初めて目にした瞬間に引き戻されているのかもしれない。
三宅唱(映画監督)
複数人の個別のアクションが同じ画面内で展開され続けることで「社会」が立ち上がる――キアロスタミの演出の豊かさとはひとまずこれだ、と僕は考えた。
——映画『友だちのうちはどこ?』
清原惟(映画監督)
子どもを主人公とした映画で、これほどまでに残酷に現実を突きつけるラストを描くのは勇気がいることだと思う。しかし、残酷ではあっても、ふしぎと絶望は感じない。それはなぜだろうか。映画が終わったあと様々な想像がふくらんだ。
——映画『トラベラー』
小森はるか(映像作家)
どの子を観ていても情が湧く。「暴力」や「教育」ではなく、あくまで「宿題」についてのリサーチだという切り口を持つことで、カメラの侵入できない場所で起きている現実を記録できるのだと思った。
——映画『ホームワーク』
100%ORANGE(イラストレーター)
『友だちのうちはどこ?』は絵本のようにシンプルに心に入ってきた。心が動かされてそこから澄んだ水が自分の中に湧き出してきたように感じました。
——映画『友だちのうちはどこ?』
■公開情報
『そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映』
10月16日(土)より、ユーロスペースほか全国順次開催
上映作品:『トラベラー』『友だちのうちはどこ?』『ホームワーク』『そして人生はつづく』『オリーブの林をぬけて』『桜桃の味』『風が吹くまま』
提供:WOWOWプラス
配給:ユーロスペース
公式サイト:kiarostamiforever.com
『トラベラー』
出演:ハッサン・ダラビ、マスウード・ザンドベグレー
監督・脚本:アッバス・キアロスタミ
原案:ハッサン・ラフィエイ
撮影:フィルズ・マレクザデエ
編集:アミール・ホセイン・ハミ
録音:アハマッド・アスカリ
音楽:カンビズ・ロシャンラヴァン
1974年/イラン/モノクロ/35mm/72分
(c)1974 KANOON
『友だちのうちはどこ?』
出演:ババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプール、ホダバフシュ・デファイ、イラン・オタリ
監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:ファルハッド・サバ
録音:ジャハンギール・ミルシェカリ
美術:レザ・ナミ
1987年/イラン/カラー/83分
(c)1987 KANOON
『ホームワーク』
出演:シャビッド・マスミ小学校の生徒と親たち、アッバス・キアロスタミ(インタビュアー、ナレーション)
監督・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:イラジ・サファヴィ
録音:アハマッド・アスカリ
音楽:モハマッド=レザ・アリゴリ
1989年/イラン/カラー/77分/ドキュメンタリー
(c)1989 KANOON
『そして人生はつづく』
出演:ファルハッド・ケラドマンド、プーヤ・パイヴァール、ハドーバル及びロフタマバードの住民
監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:ホマユン・パイヴァール
録音:ハッサン・ザヘディ、チャンギス・サイヤッド
ミキシング:チャンギス・サイヤッド
製作:アリ=レザ・ザリン
1992年/イラン/カラー/95分
(c)1991 KANOON
『オリーブの林をぬけて』
出演:ホセイン・レザイ、タヘレ・ラダニアン、モハマッド=アリ・ケシャヴァーズ、ザリヘ・シヴァ、ファルハッド・ケラドマンド
製作・監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:ホセイン・ジャファリアン、ファルハッド・サバ
音楽:マハムード・サマクバシ
ミキシング:チャンギス・サイヤッド
助監督:ジャファール・パナヒ
1994年/イラン/カラー/103分
(c)1994 Ciby 2000 - Abbas Kiarostami
『桜桃の味』
出演:ホマユン・エルシャディ、アブドルホセイン・バゲリ、アフシン・バクタリ、アリ・モラディ、ホセイン・ヌーリ
監督・脚本・製作・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:ホマユン・パイヴァール
録音:ジャハンギール・ミルシェカリ、モハマッド・レザ・デルパック
助監督:ハッサン・イェキタ、バフマン・キアロスタミ
1997年/イラン・フランス/カラー/99分
(c)1997 Abbas Kiarostami
『風が吹くまま』
出演:ベーザード・ドーラニー、ファザード・ソラビ
監督・脚本・製作・編集:アッバス・キアロスタミ
原案:マハムード・アイェディン
撮影:マハムード・カラリ
音楽:ぺイマン・ヤズダニアン
サウンド編集:マハマッド・ハッサン・ナジム
録音:ジャハンギール・ミルシェカリ
助監督:バフマン・ゴバディ
製作:マラン・カルミッツ
1999年/イラン・フランス/カラー/118分
(c)1999 MK2 PRODUCTIONS-ABBAS KIAROSTAMI