『おかえりモネ』坂口健太郎だからこそ成立した菅波 「#俺たちの菅波」も毎朝トレンドに

「#俺たちの菅波」の熱狂ぶり

 振り返ると、初めて2人の距離が明確に縮まったというのは、百音がお盆休みで帰省した帰りのBRTで偶然隣り合わせになり、登米に戻るシーンだ。紙袋に隠れていたサメのぬいぐるみを百音が見つけると、菅波はサメの生態について語り始めた。ここも普通に「かわいいから買った」でよいのでは? とツッコミを入れたくなったが、意外と百音にもサラリとツッコミを入れられていることがある。

 菅波らしい、百音を励ます名言の一つに「物事うまくいかなくて落ち込むようなとき、僕は何かしら新しい知識を身につけるようにしています」がある。百音は「だから先生はいつも勉強しているんですね」と納得している。この百音の言葉に「僕が四六時中落ち込んでいるとでも?」と菅波は腑に落ちない顔をしていたが、阿吽の呼吸というか2人の間には繊細で穏やかな独特の空気が流れているように映る。

 耕治だけでなく、龍己も菅波が百音にとって特別な存在であることをそれとなく察知し、認識した。もともと人付き合いが苦手で、初対面の相手への挨拶をそつなくこなすタイプではないけれど、耕治に呼び出されたときに菅波は「お父さんからどういうふうに見えているかは分かりませんが」と前置きして「永浦さんにもし何かあれば、僕にできることはするつもりです」と誠実な姿勢を見せた。「頼みます」という耕治に「はい」と素直に答えている。

 ちなみに耕治に菅波は「まだ、蕎麦屋にしか……」と言い訳しているので、これから誘う気満々という意思表示も見受けられる。初めて百音と相合い傘をしたとき、菅波は「小学生か」と自虐的なセリフをこぼしたが、菅波から百音への誕生日プレゼントは「中学の理科の教科書」でクリスマスプレゼントは「なわとび」だった。純情さ加減でいったら、中学生程度かもしれないが、じんわりと温かい関係を見続けられるのも至福のひととき。これからも2人の関係の変化に期待していたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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