『君の膵臓をたべたい』アニメ版の見どころは? 実写版とは異なる演出に注目

『きみすい』アニメ版はどう描いた?

 センセーショナルなタイトルと、衝撃のラストが話題を集め、累計300万部以上のベストセラーとなった住野よるによる小説『君の膵臓をたべたい』。その劇場アニメ版が、7月23日に『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される。本稿では、放送を前に作品の見どころをおさらいしていきたい。

「私は、膵臓が使えなくなって、あとちょっとで死にます」

 あまり話したことがないクラスメイトから、突然こんなことを明かされたら、どうするだろうか。驚くだろうし、「どうして?」と聞き返すかもしれない。だが、本作の主人公「僕」は、「ああそう」と一言。自分の病気を知っても、“普通”に接してくれる「僕」に、桜良は次第に興味を持っていく。

 確かに、身近な人が重病におかされていると知ったら、どこか遠慮してしまい、従来の関係性のままでいることは難しいだろう。実際に桜良の家族も、彼女の発言一つひとつに過剰に反応して、“普通”を取り繕うことに必死になっている。そんな桜良にとって「僕」は、「ただひとり、真実と日常を与えてくれる人」だったのだ。

劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」本予告

 本作を観る前と観たあとでは、命に対する考え方が変わることだろう。余命僅かにも関わらず、“普通”の生活を送っている桜良に、“僕”は「残り少ない命なのに……」と声をかける。すると彼女は、「いいに決まってるじゃん。例えば、君も死ぬまでにやりたいことはあるでしょ? でも今、それをやってないじゃん。もしかしたら、明日死ぬかもしれないのにさ」と返すのだ。ラストを迎えた時、桜良のこの言葉はより強く胸に響くことになる。

 最後に“僕”の本当の名前が明かされた時には、すべてのピースがバチっと合わさる感覚に陥る。ちなみにアニメ中盤では、“僕”の名前を聞いた時の桜良のリアクションも描かれている。

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