『コミンスキー・メソッド』『バリー』 演劇人が観た俳優養成所が舞台のドラマ新シーズン

演劇を舞台に描く、海外ドラマの魅力

 偶然にも俳優養成所を舞台にしたTVドラマの新シーズンが相次いで配信された。筆者も20年ほど前、吉田鋼太郎や甲斐田裕子を輩出したシェイクスピアシアター附属演劇研究所で主宰の出口典雄に4年間、師事した経験があり、この2作を興味深く見た。

 Netflixの『コミンスキー・メソッド』はシーズン3で最終回を迎えた。マイケル・ダグラス扮する演技講師のサンディ・コミンスキーはかつてトニー賞を受賞した舞台俳優だったが、その後は大成することもなく、ハリウッドで演技養成所を開いて糊口を凌いでいる。長年、彼のエージェントを務めてきたノーマン(アラン・アーキン)とは縁が続いており、ドラマは2人の友情をユーモラスに描いていく。今さら気を使うような関係でもないが、常にお互いを慮る2人の関係は見ていてとても心地が良く、ヘビーなテーマとハイテンポな展開が続くPeak TVにおいて、箸休めのような作品だ。

『コミンスキー・メソッド』Netflixにて配信中

 養成所とひと口に言っても劇団や大手芸能事務所が新人を育成、選抜する専門学校のようなものから、俳優個人が自身の演技メソッドを伝授する私塾のような形態まで様々である。“TVに出たら売れた”という価値観で語られがちだが、メインストリームに出ることはなくとも素晴らしい俳優はあちこちにおり、そんな彼ら演技コーチがアカデミー賞俳優を輩出することも珍しくない。受賞スピーチで名前を挙げられている中にはアクセントや役作りをサポートした彼らの名前も含まれているのだ。

 その一方で、売れない役者が素人相手にインチキ商法まがいの指導をする話もよく耳にする。ほとんど熱意を失っていたサンディもこれに近い節があったが、シーズン3ではそんな彼に映画主演のオファーが舞い込んでくる。

 俳優の道の第一歩は熱烈なファンを得ることである。それは家族や恋人、友人でもいい。いつしかそんな関係性を超え、次回作を期待してくれるようになったらその人は立派な“ファン”だ。たった1人の熱狂的ファンのために生きる、全ての無名役者に捧げられた終幕は感動的だった。ダグラスの老境も味わい深く、劇中映画『老人と海』では父であるカーク・ダグラスを思わせる表情を見せていた。

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