『ドラゴン桜』ヒットの立役者は阿部寛だった? 数多くの続編を成功に導くその手腕

『ドラゴン桜』ヒットの立役者は阿部寛?

 だが華々しいキャリアはとんとん拍子に成功に向かうわけではない。不遇の時代に直面する中、阿部は“二枚目俳優”という固定観念を吹き飛ばすべく、役の幅を広げながら黙々と実績を積み重ねていく。そして2000年には連続ドラマ『TRICK』で仲間由紀恵と共にW主演に抜擢され、コメディの才能を存分に発揮し再ブレイクを果たすことになるのだ。阿部の演技における独自性はこの頃にはすでに確立されていたが、仲間とのテンポのいいコミカルな掛け合いはさらなる魅力を引き出し開花させていく。人気を博した『トリック』シリーズは14年もの歳月をかけて、3本の連ドラとSPドラマ、4本の劇場版が制作され、大ヒットのうちに完結した。

 その後も前述した数々のドラマシリーズで主演を張り、その活躍は枚挙にいとまがない。映画では、2012年に劇場公開された『テルマエ・ロマエ』で第36回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したことをはじめ、数多くの賞を受賞。かつては役者としてのキャリアの中で持て余すこともあったという高身長も、今では大きな個性という“強み”に変え、作品の中で自身の存在感を大きく示すきっかけにもなっただろう。


 コミカルからシリアスまで幅広い役をこなすが、どんな役でもしっかり“阿部らしさ”を発揮しつつ役の個性を掴んでいく。次なる出演はどんな作品になるのだろうか。もしも『ドラゴン桜』シーズン3が製作されるなら……とそこはかとない期待も捨てきれないのである。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■配信情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
Paraviにて配信中
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、駿河太郎、馬渕英里何、大幡しえり、深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)、林遣都、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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