『ドラゴン桜』第2シリーズでの大きな変化 いつの時代も求められるのは“熱い説教”?

説教垂れるドラマはいつの時代にも響く?

 TBS日曜劇場『ドラゴン桜』が好調だ。ライトな学園コメディだった第1シリーズとまったく異なるシリアスな展開と重厚な演出に、当初は違和感を覚える視聴者が多かったようだが、視聴率は終盤にかけて尻上がりに良くなってきた。

 第2シリーズの大きな変化をもうひとつ挙げるとしたら、阿部寛演じる主人公・桜木建二の「説教」だろう。

 説教とは、辞書をひくと「教え導くために言い聞かせること。また、堅苦しい教訓をいう語」(デジタル大辞泉)とあるが、ドラマの中での説教は、正論を滑舌よく、熱く、長く語り、相手の心を揺さぶり、時には涙させて、改心させるものだというイメージがある。説教は、説教されている相手だけでなく、視聴者にも強く響く。

 これは学園ドラマの金字塔『3年B組金八先生』(TBS系、以下『金八先生』)で武田鉄矢が演じた、坂本金八による名説教の数々の影響が大きいだろう。明らかに『金八先生』を意識したタイトルの異色の教師ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―, 』(日本テレビ系)でも、最終回で菅田将暉演じる教師の柊一颯が画面に向かって熱い説教を繰り広げていた。

 第1シリーズの桜木は、ほとんど説教をしていない。教師たちを相手に「受験に知能はさほど重要ではありません。必要なのは根気とテクニックです」「教育もビジネスだ」と説き、生徒たちには「賢い奴は騙されずに得して勝つ。バカは騙されて損して負け続ける。これが今の世の中の仕組みだ!」「バカとブスほど東大に行け!」と言い放っていたが、どちらも「教育は生徒に寄り添うもの」「努力はいつか報われる」的なきれいごとに対するカウンターの色が強い。桜木は、斬新な受験テクニックを披露しながら、挑発したり、檄を飛ばしたりしつつ生徒たちの成長を促し、東大合格へと導いていく。

 第1シリーズが放送されていたのは2005年のこと。「二〇代は搾取されている」「人の心はお金で買える」などと語っていたホリエモンこと堀江貴文が世の中を席巻し(発言はいずれも光文社『稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方』より)、いかに効率よく仕事を行うかを考える「ライフハック」ブームが日本にやってきた頃だった。若者にとって不都合な世の中の仕組みを喝破し、効率を重視する桜木は、時代の動きとシンクロしていた。

 なお、天海祐希演じる教師・阿久津真矢が人気を博した『女王の教室』(日本テレビ系)も『ドラゴン桜』第1シリーズと同じ2005年7月に放送された。阿久津が小学生相手に説いた「愚か者や怠け者は差別と不公平に苦しみ、賢い者や努力した者は色々な特権を得て、豊かな人生を送ることができる。それが社会というものです」という言葉は、驚くほど桜木の言葉と共通している。

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