ラブコメで試される鈴木亮平、綾野剛、永山瑛太 目が離せない“一風変わった”男たち
『恋はDeepに』(日本テレビ系)の綾野剛、『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)の鈴木亮平、そして『リコカツ』(TBS系)の永山瑛太……今期のテレビドラマには、一筋縄ではいかない、一風変わった男たちが揃っている。とはいえもちろんこれは、彼らが演じるキャラクターに関してのことだ。程度の差こそあれ、誰もが強いこだわりを持っている。ここではこれを演じる、3人の俳優の力が試されていることだろう。
『恋はDeepに』綾野剛(蓮田倫太郎役)
綾野剛が演じる蓮田倫太郎は、『レンアイ漫画家』の刈部清一郎(鈴木亮平)、『リコカツ』の緒原紘一(永山瑛太)と比べれば、もっともクセのないキャラクターかもしれない。ほかの二人のクセの強さについては後述するが、倫太郎は社会生活を送る上では問題のない人物だ。それどころか、巨大不動産会社の次男である、いわば御曹司。イギリスへの留学後、順調にキャリアを重ねてきたエリートだ。しかし、帰国し、リゾート開発事業を任された先で海洋学者の渚海音(石原さとみ)と出会ったことから人生が一変! まさに恋は盲目。キレ者で気難しいところのある彼でさえ、恋する気持ちには勝てないのである。これだけ書いていると、倫太郎はありがちなキャラクターだ。ここで彼が“表向きの顔”の下に隠している“少年性”に注目してみる。水槽内で揺れる魚たちに向けた瞳の輝き、くいっと上がった口角ーー見ているこちらまで思わず破顔してしまう。倫太郎と海音の恋の進展につれて綾野が見せる“少年性”が、この手のキャラクター像を刷新してくれることだろう。
『レンアイ漫画家』鈴木亮平(刈部清一郎役)
これは手強い……。鈴木亮平の演じる刈部清一郎は、他者とコミュニケーションを取るのが苦手な変わり者。相手が女性だろうと子どもだろうと関係なく高圧的な態度で接し、外出時にはパーカーのフードしっかり被ってコソコソしているため、職務質問をされることもある。しかしその正体は、“刈部まりあ”という女性名のペンネームで大ヒット漫画の連載を続ける天才少女漫画家。いやはや、かなり特異なキャラクターである。これに扮する鈴木といえば、出演する作品ごとに大胆な役作りをする俳優として知られるが、そのためか、フィジカル面で優れた俳優だと思っている方が多いのではないだろうか。そしてそれが存分に活かされるような、豪快な人物たちを多く演じてきた印象がある。大河ドラマ『西郷どん』(2018年/NHK総合)のタイトルロール・西郷隆盛役は言わずもがな、『テセウスの船』(2020年/TBS系)での正義感溢れる警察官役も記憶に新しい。“リーダーシップ”という言葉がピッタリな鈴木は今作でも主演だが、ポジションとしては周囲の人々の影響を“受ける側”。フィジカルではなく、その心の機微に注目したい。