若手俳優は趣味と実益を兼ねる傾向? セカンドジョブの可能性からみる、俳優の生き方

若手も続々と副業を希望

 冒頭で触れた北村匠海は、10年後には間違いなく経営しているというカレー店について、かなり詳細なビジョンを語っている。カレー、コーヒー、古着が好きだという彼は、「土地を買って、3つに等分して、2週間にいっぺん、そのくくりを取れるような設計にして、そこでライブや芝居をやりたい」と音楽・俳優業とともに複数のサイドビジネスを考えているようだ。そのほかにもキャンプ場の経営やカメラマン、監督、本の執筆など、さまざまなことに挑戦したいと語っている。

 彼以外にも、将来副業を希望する若手俳優はいるようだ。2021年4月にそれまで所属していた芸能事務所スウィート・パワー(スパイスパワー)を退所した高杉真宙は、個人事務所「株式会社POSTERS」を設立。今後趣味であるゲーム関連の活動も視野に入れており、イベントへの参加やeスポーツに挑戦したいとしている。彼らのように、若手俳優の間では趣味と実益を兼ねた副業を考える場合が多いようだ。

 芸能界という収入や生活リズムの不安定な業界では、将来に不安を覚える人も少なくないだろう。特にコロナ禍では、その不安も増しているに違いない。そうなると副業は、現実的な選択肢の1つになってくる。これまでは多くのタレントやお笑い芸人が不動産や株式の投資、そしてブログのアフィリエイトなどで収入を得てきた。しかし現在の俳優陣の副業は自身の知名度だけに頼らず、本当に良いものや社会的に意義のあるものを提供しようという方向性が強いように感じられる。海外セレブのなかにも、有害物質を含まないベビー用品やキッチン用品を扱う企業を経営しているジェシカ・アルバなど、こうした事業を展開している人物は多い。これは、将来への不安からというよりも、社会的なメッセージを広く発信できる立場にあることを自覚したものなのではないだろうか。個人の収入を安定させるためだけではなく、社会に還元しようというこうした動きは歓迎すべきだし、応援していきたい。

■瀧川かおり
映画ライター。東京生まれ、グラムロック育ち。幼少期から海外アニメ、海外ドラマ、映画に親しみ、10代は演劇に捧げる。



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