『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で注目 ワイアット・ラッセルの俳優像に迫る

ワイアット・ラッセル、MCUまでの道のり

SFホラー『オーヴァーロード』で演じた役にジョン・ウォーカーの片鱗あり?

 さて、そんなラッセルが大きく注目を浴びた作品は、2018年に公開されたJ・J・エイブラムス製作、ジョヴァン・アデポ監督のSFホラー映画『オーヴァーロード』。ノルマンディー上陸作戦の支援に行ったある部隊が、ナチスドイツの恐るべき秘密兵器に対峙する姿を描いた映画だ。戦争、アクション、不気味なクリーチャーと、J・J・エイブラムスの得意とするものが全部盛りになっている。

『オーヴァーロード』(c)2018 PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

 本作でラッセルが演じたフォード伍長は、今観るとどことなく『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のジョン・ウォーカーを連想させる。彼が率いる部隊は、ノルマンディー上空からの爆撃を援護するためのある任務に就くのだが、それが想定外の展開へと進んでいくのだ。フォードはいわゆる戦争映画に登場する上官らしく、敵に対して時にはやりすぎではないかと思うような強硬な態度をとる。部下や観客は彼の正気を疑うが、それを上回る常軌を逸した敵を前に彼は思っていたよりもまともな方向へと進み、最後は感動すら誘う。

 『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で、ジョン・ウォーカーも兵士としてこれまでの任務からPTSDに近い状態になっていることが描かれているが、それはフォード伍長の延長線上にある姿にも見えるのだ。

オーディションから11年越しでキャプテン・アメリカに? 今後のMCUでの活躍は

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(c)2021 Marvel

 実はワイアット・ラッセルは、11年前にキャプテン・アメリカ役のオーディションを受けていたのだという。2021年3月、彼はテレビ番組Good Morning Americaで司会者からその件について触れられ、当時の状況と今回『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に出演することになったいきさつを語った。彼は当時のオーディションについて「演技ができるかどうか見るためのものだったので、実際に役を争っていたわけではないと思います」と振り返っている。そして今回は、役が決まったあとにどの作品に出演するのか知ったのだとか。

 『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』はすでに最終話まで配信されているが、ジョン・ウォーカーの今後も気になるところだ。彼のこれからのMCUでの活躍に、期待している人も多いのではないだろうか。一度はキャプテン・アメリカになった男ジョン・ウォーカーは、これからどんな変化を経ていくのだろう。彼に再び会えることを願うばかりだ。

■瀧川かおり
映画ライター。東京生まれ、グラムロック育ち。幼少期から海外アニメ、海外ドラマ、映画に親しみ、10代は演劇に捧げる。

■配信情報
ディズニープラスオリジナルドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』
ディズニープラスにて独占配信中
出演:アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、ダニエル・ブリュール
監督:カリ・スコグランド
脚本:マルコム・スペルマン
原題: The Falcon and Winter Soldier
(c)2021 Marvel

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