『ファーザー』脚本家が監督との出会い、作品の魅力を語る 「ある種の真実を描いている」

『ファーザー』脚本家が作品の魅力を語る

 5月14日より公開される映画『ファーザー』より、脚本を手がけたクリストファー・ハンプトンのインタビュー映像とメイキング写真が公開された。

 本作は、世界30カ国以上で上演された舞台を映画化した人間ドラマ。自身と同名で生年月日も同じ主人公の父親を、現在83歳のアンソニー・ホプキンスが演じ、『女王陛下のお気に入り』のオスカー女優オリヴィア・コールマンが、愛する父の変化に戸惑い悩む娘を演じた。監督を務めたのは原作舞台を手がけ、これが長編初監督作となったフロリアン・ゼレール。第93回アカデミー賞では、脚色賞と主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)の2部門で受賞を果たした。

 ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。だがそれが事実なら、アンソニーの自宅に突然現れ、アンと結婚して10年以上になると語る、この見知らぬ男は誰なのか。なぜ彼はここが自分とアンの家だと主張するのか。そしてアンソニーのもう一人の娘、最愛のルーシーはどこに消えたのか。現実と幻想の境界が崩れていく中、最後にアンソニーがたどり着いた“真実”とは……。

『ファーザー』クリストファー・ハンプトン インタビュー映像

 これまでハンプトンは、劇作品、ミュージカル作品でトニー賞、オリヴィエ賞を複数回受賞、映画では『危険な関係』でアカデミー賞脚色賞、英国アカデミー賞脚色賞を受賞。脚本だけでなく自らメガホンを取った『キャリントン』では、カンヌ国際映画祭男優賞、審査員特別賞を受賞、そして本作で先日のBAFTAでも脚色賞を受賞、続いてアカデミー賞脚色賞も受賞を果たした。

 原作の戯曲に打ちのめされ、その時点でゼレールの初期作を4〜5作読んでいたが、この作品こそ彼を英国で紹介するのにふさわしいと思い、「私に翻訳させてほしい」と自ら手を挙げたという。その甲斐あって、無事に英国でも舞台が上演され、賞賛を浴びた。その後、映画化に向けてぜレール監督はホプキンスに演じてもらうため、脚本をホプキンスへのあて書きにし、主人公の名前、年齢、誕生日などをホプキンスと同じ設定に変更。ハンプトンは、監督との脚本化について、「フロリアンが初稿をフランス語で書いて、私に送り、私が2稿を英語で書いて返しました。3稿は彼がフランス語で4稿は私が英語で、その後パリで2〜3日会い、2人の意見をまとめて5稿を書きました」と舞台裏を明かした。

 ホプキンスとは、脚本家デビュー作でホプキンス主演の『人形の家』や『The Good Father(原題)』で組んだ経験を持つハンプトン。本作のオファーに際しホプキンスは会って5分で 「出演する」と快諾。「とてつもなく興奮し、それからは彼のスケジュールが空くのを我慢強く待った」と当時を振り返る。

 本作のストーリーの魅力については「認知症の症状だけでなくそれが周りの人々に与える影響を芸術的に描こうとした作品。フロリアンにはユーモアのセンスがあり、驚くほどたくさんの笑いが含まれている。舞台の観客にも言われました。『もっと重苦しい作品だと思っていた』と。それは本作がある種の真実を描いているからでしょう」と語った。

■公開情報
『ファーザー』
5月14日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:フロリアン・ゼレール
脚本:クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール
原作:フロリアン・ゼレール『Le Pere』
出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、マーク・ゲイティス、イモージェン・プーツ、ルーファス・シーウェル、オリヴィア・ウィリアムズ
配給:ショウゲート
2020/イギリス・フランス/英語/97分/カラー/スコープ/5.1ch/原題:The Father/字幕翻訳:松浦美奈
(c)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ORANGE STUDIO 2020
公式サイト:thefather.jp

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