アンソニー・ホプキンスが力強く現役宣言 『ファーザー』インタビュー映像公開
5月14日より公開される映画『ファーザー』より、アンソニー・ホプキンスのインタビュー映像が公開された。
本作は、世界30カ国以上で上演された舞台を映画化した人間ドラマ。自身と同名で生年月日も同じ主人公の父親を、現在83歳のホプキンスが演じ、『女王陛下のお気に入り』のオスカー女優オリヴィア・コールマンが、愛する父の変化に戸惑い悩む娘を演じた。監督を務めたのは原作舞台を手がけ、これが長編初監督作となったフロリアン・ゼレール。ゴールデングローブ賞では4部門にノミネートされ、第93回アカデミー賞ノミネーションにおいて、主演男優賞、作品賞を含む6部門にノミネートを果たした。そして先日の英国アカデミー賞(BAFTA)では史上最高齢で主演男優賞を受賞した。
ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。だがそれが事実なら、アンソニーの自宅に突然現れ、アンと結婚して10年以上になると語る、この見知らぬ男は誰なのか。なぜ彼はここが自分とアンの家だと主張するのか。そしてアンソニーのもう一人の娘、最愛のルーシーはどこに消えたのか。現実と幻想の境界が崩れていく中、最後にアンソニーがたどり着いた“真実”とは……。
公開された映像でホプキンスは、演じるにあたり参考にしたのは自身の父だと語る。「私は父を演じたんです。父は認知症ではありませんでしたが最後の数週はその兆候が見えました。死を恐れるあまりとても怒っていて、目が合うだけで身がこわばりました。そんな父を思い出しながら演じたので実に簡単でしたよ」と驚きの事実を明かした。
コールマンとの共演、娘アンの役柄については、「オリヴィアはとにかくすばらしいの一言に尽きます。アンは父を愛しているからこそ心を引き裂かれるんです。父の症状が進むほど彼女の絶望は深くなります。私は彼女に対して残酷ですからね。私の父も私に対してそういう態度を取っていました。私にとっては地獄でした。でも私には父が恐れているのが分かりました。アンに対する私の態度も同じです」と実際の父との経験から、恐れや弱さによって、そういう態度を取ってしまうことへの理解を表す。
認知症と死というテーマについて問われると、「この役を通して多くの学びと気づきを得ました。自分自身の人生の終わりを意識するようになり、命が美しいものに思えてきました。なぜ人は生きているのだろうか。自分の“葉”を1枚ずつ失うのはどんな気分だろうか。人生の勉強になりましたよ」と、人生経験があるからこその言葉で表現する。
そして、引退について問われると、「私はまだまだ引退する気はありません。私は老戦士ですからね。強くて生きる力がある。それに私はあれこれ考えたり分析したりせずただセリフを覚えて演じます。それが脳の活性化につながります。私は暗記マニアなんです。おかげで脳が衰えません。シェイクスピアやエリオットなどの詩も大量に暗記しています」と力強く現役宣言を行った。
先日のBAFTA受賞により、今年の各種映画アワードで主演男優賞の座を争っている、『マ・レイニーのブラックボトム』の故チャドウィック・ボーズマン、『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』のリズ・アーメッド、『アナザーラウンド』のマッツ・ミケルセンといった強豪たちを制し、一歩リードしているホプキンスだが、現地時間4月10日に開催されたBAFTAの授賞式には登場せず。自分が受賞するとは思っておらず、滞在先のホテルで授賞式の中継も見ずに絵を描いていたそうで、ゼレール監督からメールが届き自分の受賞を知ったと明かしている。
■公開情報
『ファーザー』
5月14日(金)、TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:フロリアン・ゼレール
脚本:クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール
原作:フロリアン・ゼレール『Le Pere』
出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、マーク・ゲイティス、イモージェン・プーツ、ルーファス・シーウェル、オリヴィア・ウィリアムズ
配給:ショウゲート
2020/イギリス・フランス/英語/97分/カラー/スコープ/5.1ch/原題:The Father/字幕翻訳:松浦美奈
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公式サイト:thefather.jp