『恋はDeepに』で思い出す『アンナチュラル』の石原さとみ 綾野剛の秘密も徐々に明らかに
光太郎の狙いもまた現時点では見えてこないところがある。倫太郎との関係が良好でないことは明らかで、今回の倫太郎が指揮をとるマリンリゾート開発計画を邪魔しようと海音をアドバイザーに招いたのかと思いきや、リゾート開発計画を率先して進める格好になっている。
本作を観ていると、なんだか映画『もののけ姫』を思い出してしまう。「さがしもの」(アシタカの場合には、自身の腕に受けた死の呪いを解くヒント)を求めて、敵対する側(タタリ神のルーツがある深い森)に足を踏み入れ、そこでオオカミに育てられた少女サンと出会う。森と敵対する人間の村(タタラ場)ともののけの間で揺れ動くアシタカの様子や、アシタカとサンが互いに惹かれあっていく過程、人間と森、もののけが共生できる道はないのかと模索する姿は、まさに第2話後半で描かれた倫太郎と海音のやり取りと早くも重なる。
『人魚姫』の結末はあまりに悲しく切なすぎるので、最終的に何かしら“共生”の手立てが見える『もののけ姫』のような展開が待ち受けていてほしいという勝手な願望が筆者の中で顔を出しているのかもしれない。
石原さとみといえば、『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)と多数の恋愛ドラマでヒロイン役を務めてきたが、本作での役どころはそこに『アンナチュラル』(TBS系)で演じた法医学者の三澄ミコト役での顔がミックスされている気がする。所属が研究室で白衣姿という共通点はもちろんのこと、ミコトも解剖を通して死人の“声なき声”に耳を傾けていたし、自身の中で強い“死生観”とそれに至る原体験を持ち合わせていた。本作でも海洋生物の代弁者として星ヶ浜から“最後の砦”として送り込まれてきた存在であり、まだ家族関係は描かれていないものの、海洋生物との仲間意識、連帯感の強さを滲ませている。
次話の予告編では、光太郎と倫太郎それぞれに海音の秘密の核心に迫っていく様子が描かれていた上に、倫太郎と親しげな他の女性の存在がほのめかされていた。ちゃんとベタ展開を抑えつつも、どこに向かっていくのかはまだ未知数の『恋ぷに』、次週がさらに楽しみだ。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
4月期水曜ドラマ『恋はDeepに』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:石原さとみ、綾野剛、今田美桜、大谷亮平、渡邊圭祐、橋本じゅん、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)
脚本:徳尾浩司
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:枝見洋子、畠山直人、鈴木香織(AX-ON)、山口雅俊(ヒント)
演出:鈴木勇馬、岩本仁志、伊藤彰記
主題歌:back number「怪盗」(ユニバーサル シグマ)
(c)日本テレビ
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