前田旺志郎×倉悠貴、“2人の弟”が見せた笑顔と涙 『おちょやん』切ない竹井家の再会

前田旺志郎×倉悠貴、“2人の弟”の涙

「ねえやんなら『あほやなあ』って許してくれる」

 そんなヨシヲの言葉とビー玉を受け取り、寛治は無我夢中で逃げた。しかし、引き揚げの直後にヨシヲが逃げ遅れた人を庇って命を落としたことを知ったヨシヲはすぐに日本へは帰らず、引き揚げを待つ人の世話をしていたという。誰かのために何かを為す、そんな姿勢をヨシヲは千代に学び、寛治はヨシヲから学んだのだ。

 千代とヨシヲが再会することはついぞ叶わず、ヨシヲはその手でビー玉を返すことはできなかった。それでも当時戦争に行ったきり帰ってこなかった人がたくさんいる中、ヨシヲの願いは寛治に託され、千代の元に帰ってきた。千代は母の形見であり、ヨシヲの形見でもあるビー玉を母と父の写真とともに並べる。悲しい形ではあるが、何十年かぶりに家族が一つの場所に集まった。

 一平は寛治の話を聞き、千之助(星田英利)が書いた新作『お家はんと直どん』に加え、寛治や新たに新喜劇の仲間となった万歳(藤山扇治郎)、朝比奈灯子(小西はる)の出番を増やす。それは、これからの時代を担う人たちの芝居を作るため。志半ばで亡くなった人たちの思いを繋ぎ、戦争から立ち直り生きていく人たちを喜劇で笑わし励ます。そんな目標を掲げて進んでいく鶴亀新喜劇。古株となった千之助はただ一人、何かを静かに決意していた。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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