小芝風花の抜群の表現力が光る 『モコミ』最終話に向けて広がる優しい世界

『モコミ』で光る小芝風花の抜群の表現力

 トミーの紛失に気づき必死に探せども見つからない中、萌子美が最後の頼みとしたのは、林の中の木に手をかざし、彼らにトミーの居場所を聞くことだった。

 ここでもまた小芝風花の抜群の表現力が光っていた。喪失感からの脱却、急に自分の世界が再び色彩を取り戻し息吹が吹き込まれたさまを、あの静かな演技の中でリアルさと切実さを持って見せてくれていた。初めての“喪失”やそれに伴う静かな“絶望”よりも、何かを“取り戻した”時の感覚や半信半疑からそれが確信に変わる経緯、すぐには嬉しいとは両手を挙げて喜べない“慎重であろうとする自分”と“今すぐ飛び上がってでも歓喜したい自分”の狭間を表現する方が余程難しいだろう。

 次週、いよいよ最終話。萌子美が冒頭の問いかけに対して答えていた「私が楽しいと思えて、誰かのためになることが良い」というこの特別な力の使い道はどんなことなのか。予告で俊祐が「今、どうしてもやりたいことがある」と言っていたのは何なのか。佑矢(加藤清史郎)が踏み出そうとしている新しい道も、観が嘘をついてまで娘夫婦の家で一緒に住むようになった理由も気になるところだ。この温かく優しい世界の向かう先を見届けたい。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
出演:小芝風花、加藤清史郎、工藤阿須加、田辺誠一、富田靖子、橋爪功、水沢エレナ、内藤理沙ほか
脚本:橋部敦子
演出:竹園元(テレビ朝日)、常廣丈太(テレビ朝日)、鎌田敏明
音楽プロデュース:S.E.N.S. Company
音楽:森英治
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:竹園元、中込卓也(テレビ朝日)、布施等(MMJ)
制作著作:テレビ朝日
制作協力:メディアミックス・ジャパン(MMJ)
企画協力:オスカープロモーション
(c)テレビ朝日

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