ヨハン・ヨハンソンの初監督作にして遺作が7月公開 ティルダ・スウィントンがナレーション
作曲家ヨハン・ヨハンソンの初長編監督作品であり遺作となった映画『Last and First Men(原題)』が、『最後にして最初の人類』の邦題で7月23日より公開されることが決定した。
アイスランド出身のヨハンソンは、クラシックと電子音を融合させた音楽スタイルで知られ、映画をはじめ舞台、コンテンポラリーダンスなど幅広いジャンルで活躍した作曲家。中でも映画音楽での活躍はめざましく、エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズが共演した『博士と彼女のセオリー』でゴールデングローブ賞作曲賞を受賞すると、大ヒットしたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作『メッセージ』でも同賞にノミネートされた。
しかし、キャリア絶頂期にあった2018年2月9日にわずか48歳で急死。早すぎる逝去に、シガー・ロス、マックス・リヒターなど世界中のアーティストたちが数多くの追悼コメントを寄せた。生前に親交のあった音楽家の坂本龍一も「これから何度も共に音楽を作ることになるだろうと思っていました。そんな彼が何も言わずに突然去ってしまい、ぼくを含めて残された者はただ呆然としています」と追悼文を寄せた。
本作は、もともとシネマ・コンサートの形式で生上演されていたものがベースとなっている。ヨハンソンが監督した16mmフィルムの映像をスクリーンに投影し、女優のティルダ・スウィントンが朗読を加え、ヨハンソンによるスコアをオーケストラが生演奏するというスタイル。
これをヨハンソンが亡くなった後、16mmフィルムの撮影監督を務めたシュトゥルラ・ブラント・グロヴレンを中心とした参加スタッフが、1本の長編映画として構成。ヨハンソンが目指したビジョンを損なうことのないよう、2017年7月に行われた英国・マンチェスターでの初演を再現するべく努めた。そして、ヨハンソンの死後2年を経て、2020年2月のベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映された。
原作は、英国の哲学者で作家オラフ・ステープルドンの『最後にして最初の人類』(1930/邦訳は絶版)。20世紀を代表するSF作家の1人であるアーサー・C・クラークにも大きな影響を与えたといわれるSF小説の金字塔。20億年先の未来に生きる人類第18世代のひとりが、20世紀に生きる第1世代の私たちにテレパシーで語りかけてくる内容は、期せずしてヨハンソンの出世作である『メッセージ』の世界観とも響き合うものとなっている。
公開されたビジュアルでは、旧ユーゴスラビアに点在する「スポメニック」と呼ばれる巨大な戦争記念碑が収められている。
あわせて公開された予告編では、第二次世界大戦の対ドイツ戦で犠牲となった人々を追悼し、社会主義の勝利をアピールすべく建設された数々のモニュメントが映し出される。それらは現在、まるで放棄された未来の夢のような姿を晒し続けており、スウィントンのナレーションが添えられている。
■公開情報
『最後にして最初の人類』
7月23日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテにて全国順次公開
原作:オラフ・ステープルドン著『最後にして最初の人類』
監督:ヨハン・ヨハンソン
ナレーション:ティルダ・スウィントン
プロデューサー:ヨハン・ヨハンソン、ソール・シグルヨンソン、シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
撮影:シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン
音楽:ヨハン・ヨハンソン、ヤイール・エラザール・グロットマン
配給:シンカ
2020年/アイスランド/英語/70分/ヨーロッパビスタ/5.1ch/DCP/原題:Last and First Men
(c)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson
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