杉咲花×トータス松本、息を呑む約8分間の芝居 『おちょやん』親子の対面があまりに悲しい

杉咲花×トータス松本、約8分間の対峙

「わいとサエのもとに生まれてきてくれて、ほんまおおけにな」

 そう話し始めるテルヲはやがて、千代を奉公に出した“あの日”を後悔していると告げる。最も許せないのは自分自身だと。その言葉を千代は背中で受け止め、むせび泣く。時折、宙を見上げ、ため息を吐き、下唇を噛みしめながら。テルヲは千代に「どうか幸せになってくれ」など、到底言える立場ではない。みつえ(東野絢香)が千代を思って話す“普通の幸せ”も、テルヲのこれまでの悪行がなければとうの昔に手に入れていたのかもしれない。ヨシヲ(倉悠貴)が千代を恨んでいるのも“あの日”があったからだ。金網越しに怒りをぶつける千代と、手を合わせて必死に「堪忍や」と謝るテルヲ。これほどまでに悲しい親子の対面があっただろうか。

 テルヲの償う気持ちを聞き、千代の心には「お母ちゃん……うちどないしたらええ?」と迷いが生まれている。許せない、憎い……けれど、の先にある答えは。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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