『ひぐらしのなく頃に 業』はリメイクにも見えた“完全新作” プロデューサーが語る制作背景

『ひぐらしのなく頃に 業』Pが語る制作背景

新作を手掛けるにあたって意識した「親切設計」にしないこと

 また、「新作」を手掛けるにあたり、キャラクターデザインで心掛けたことは多かったという。

「新作を作る上でビジュアル面もどのようにアプローチするかは、クリエイティブの序盤では重要な問題でした。そんな時に渡辺明夫さんの名前が挙がり、ご本人ももともと作品のファンであったということを伺ったため、全てお任せしたいと思い、お願いしました。これまでのシリーズとは印象が違うかもしれませんが、それぞれに魅力があって自分たちも自信を持って送り出せるキャラになったと思います」

 渡辺明夫氏は、『神のみぞ知るセカイ』『偽物語』『終物語』『傷物語』『暦物語』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』などのキャラクターデザインを手掛けているアニメーター・イラストレーター・キャラクターデザイナー・作画&アニメ監督。当初は綺麗な絵で恐怖が薄まるのではないかと思ったが、「綺麗な絵だからこそ怖い」世界観を見事に見せてくれている。

 ところで、これまでの世界観を理解している従来のファンですら、意外な展開に驚かされっぱなしだが、新作から初めて観る視聴者に向けて意識したこととは?

「新しく観てくれる方にも親切にと思いながらも、これまでの歴史を踏まえての作品なので、そもそも今作だけで全てを理解することは難しいとは思っております。ただ、今思えば『なるほど』と皆様が思ってくれていると思いますが、ここで新作がくるからこそ、この数カ月で旧作を見られるチャンスを増やしていただきました。また、それがネット配信でもあることから、今『面白い!』と思ってくれれば過去作品にさかのぼることも難しくないことだと考え、存分に手加減なしに『ひぐらし』っぽさを押し出して行っているつもりです」

 確かに、従来のファンについても、この作品に強烈に惹かれた理由の一つに「すぐには理解できないカオスぶりが、見続けることで徐々につながって、わかってくる快感」があったはず。それを思うと、最初から誰でもわかる・入り込める「親切設計」にしないことこそが『ひぐらし』の真の「親切さ」なのかもしれない。

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