柄本佑が考える、どうやったら人に優しくなれるか 「心のゆとりを知っておくことが大事」
「“なんでできなかったのか”を知っておくことが大事」
ーー夫婦の絆も本作の軸として描かれていますが、客観的に見て、和隆と終子はどんな夫婦だと感じましたか?
柄本:いやー、ラブラブでしょ。とても仲が良い夫婦だと思います。実際に安さんの奥さんである末美さんが克昌さんのお話をするときは、いまだに愛情が溢れ出るぐらいにお喋りされるんです。「どうだったんですか?」って聞いたら「うちはラブラブでした」って言ってました。支え合っていて、本当に素敵な理想的な夫婦の形というか、とてもいい夫婦だったんだなと感じましたね。
ーー妻の終子役の尾野さんとは、どのように夫婦の関係性を作り上げていったのでしょう?
柄本:役柄の話はほとんどしなかったんですけど、尾野さんと一緒になると、2人でよく喋って笑ってるんですよ。その感覚がシーンの撮影が始まっても地続きな2人ではあったかもしれないです。くっちゃべりもある種、2人の中では役作りというか。役に入る前の準備体操のような感じもあったのかな。単純にただお喋りなだけでしたけどね(笑)。尾野さんとは昔からの仲なので、今さら夫婦役というのは、ちょっとこっぱずかしい感じも少しありました。でもやっぱり素敵な女優さんだなと改めて思いました。非常に腑に落ちたところからセリフが出てくるし、なおかつ批評的な目を持っている方だから、目を合わせて芝居をすると、ちょっと怖いところもあったりするんです。だからこそ刺激的だし、一緒にやっていてとても楽しいです。
ーー安先生は人への寄り添い方、話の聞き方が優しい方だと思います。どうやったら安先生のように、人に優しくなれるんでしょう。
柄本:難しいですよね。心にゆとりがあるときはいくらでも優しくできるけど、そうでないときは全然優しくできなかったりするし。僕の考え方ですけど、そういうことを知っておくことが大事じゃないかなと思います。やっぱり人間はその日の状態によって違うわけだから、毎日70点という平均点を打ち出す人はいなくて。前日に何かあったことによって下がるし、上がるかもしれない。その日は優しくできるかもしれないし、次の日は優しくできないかもしれない。未来、明日以降、1秒先は何が起こるか分からないから。何かやれたということよりも、優しくできなかったときになんでできなかったのか、できたときになんでできたのかをちゃんと考えられたら、前回の反省を踏まえて、30%優しくできなかったところを1%ずつ減らしていくことも可能なんじゃないかなと思います。
■公開情報
『心の傷を癒すということ《劇場版》』
新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田ほかにて公開中
出演:柄本佑、尾野真千子、濱田岳、森山直太朗、趙珉和、浅香航大、上川周作、濱田マリ、平岩紙、石橋凌、キムラ緑子、近藤正臣ほか
脚本:桑原亮子
音楽:世武裕子
配給:ギャガ
配給協力:大手広告(ギャガ西日本事務所)
(c)映画「心の傷を癒すということ」製作委員会
公式サイト:http://gaga.ne.jp/kokoro
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